洋上風力発電の大規模開発で注目される ヘリコプターによる作業員の輸送(2ページ目)

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あらゆるミッションに応える
優れた飛行性能により世界中で活躍

レオナルド社のヘリコプターは、世界150か国以上に配備され、様々な需要に応えている。同社の安全性を追求した設計・製造思想から生まれたヘリコプターへの評価の高さは、1世紀以上にわたる航空機製造と飛行実績に裏付けられている。

 

過酷な運用にも耐える機体構造と余裕のある飛行性能

中長期的に見ると、洋上風力発電の運用・維持管理にヘリコプターを利用するメリットがあるのは確かなことだ。しかし、『ヘリコプターであれば、何でもいい』というわけではない。海の上で活動するということで、いくつかの要件が生まれてくる。たとえば、万一のエンジン不調に備えるため、エンジンは単発ではなく双発であることが求められる。さらに最悪の場合、着水となったときに海に沈まないようなフロートをボディに装備できることも条件になる。また、そもそも輸送する人や物資を収容できる、大きめのボディがあることも必須だ。

そうした洋上での活動を考えてゆくと、利用できるヘリコプターのモデルは、それほど多くはない。ヘリコプターメーカーは多数あるが、サイズや用途によるすみ分けが進んでいる。実際に欧州での洋上風力関連に使われていて、しかも日本で選択できるモデルで考えてゆくと、第一候補となるのがレオナルド社製のヘリコプターになる。レオナルド社は航空宇宙、防衛、セキュリティ分野の大手となるイタリアのメーカーだ。

 

同クラス唯一の最新安全基準に適合したハイスペックな機体仕様

日本国内へは三井物産エアロスペースが輸入販売の代理店となっており、「AW169」「AW139」「AW189」の3機種を取り扱っている。

3機種は、どれも2つのエンジンを搭載している中小型~中大型のヘリコプターで、海上への不時着時に対応するフロートを装備できるのが特徴だ。双発ならではの余裕あるパワー、大きな客室による高い運搬能力、そして過酷な状況にも対応できる安全性の高さなどを備える。洋上風力の運用・維持管理には最適なモデルと言えるだろう。3機種の主な違いは、サイズとなるが、一番コンパクトな機体が「AW169」。最大離陸重量4.6/4.8トン、全長14.65m、最大12席(正副操縦士席を含む)の座席を有して、最大出力は1,153馬力×2基となり、最大巡航速度は272km/h。

2015年にデビューしたばかりのレオナルド社ヘリコプターの最新鋭モデルだ。余裕ある飛行性能と箱型客室を備えており、人やモノを迅速に運ぶことができるため、捜索救助/救急搬送/林野火災消火/報道取材/人員輸送などに活躍している。

その上のサイズになるのが「AW139」で、最大離陸重量6.8/7トン、全長16.66m、最大席数17席(正副操縦士席を含む)。最大巡航速度は306km/hと、同クラス最高レベルの安全性、飛行性能、汎用性、居住性を備えており、2003年のデビュー以来、1,100機以上が世界で販売されている。

両機では、プライベート利用を主目的としたVIP仕様モデルも用意している。救助や救援といった公共サービス、あるいは報道取材だけでなく、VIPの優雅な空の旅まで、幅広いニーズに応えるのがレオナルド社のヘリコプターと言えるだろう。

レオナルド製ヘリコプターは、洗練されたスタイリッシュなデザインで知られ、優れた飛行性能、高次元の柔軟性、安全性そして持続可能性を提供すべく設計されている。パワフルなエンジン、最先端のコックピット、広く多用途性に富んだキャビンは最高クラスの評価を得ている。

またレオナルドヘリコプターズは、AW169, AW139,AW189を通じて世界で初めてヘリコプターのファミリー化を導入している。3機種とも2000年以降に設計されており、それまでには無かった年々厳しくなるヘリコプター設計に対する最新の安全基準を全て上回っている。

レオナルド社の確かな技術力と先進性の生かされた最大離陸(全備)重量4.6/4.8トンの双発ヘリコプター
写真提供:三井物産エアロスペース
レオナルド社の確かな技術力と先進性の生かされた最大離陸(全備)重量4.6/4.8トンの双発ヘリコプター
レオナルド社の確かな技術力と先進性の生かされた最大離陸(全備)重量4.6/4.8トンの双発ヘリコプター。AW139と同様、自在なレイアウトを可能にする広々とした箱型客室を有し、過酷な運用にも耐える機体構造と余裕のある飛行性能を発揮し、報道取材、捜索救助、救急搬送、人員輸送等、多用途の任務で活躍している。
機体全長:14.65m
機体全幅:3.21m
機体全高:4.56m
最大出力(離陸出力5分):1,153 SHP×2基
最大離陸重量:4,600/4,800kg
有効搭載重量:1,800/2,000kg
座席数(最大):12席(正副操縦士席を含む)
AW139は最新の安全基準を満たす最大離陸(全備)重量6.8/7.0トンの中型双発ヘリコプター
写真提供:三井物産エアロスペース
AW139は最新の安全基準を満たす最大離陸(全備)重量6.8/7.0トンの中型双発ヘリコプター
AW139は最新の安全基準を満たす最大離陸(全備)重量6.8/7.0トンの中型双発ヘリコプター。同クラス最高の性能と優れた機能性を有し、極限の状況下で任務遂行が求められる捜索救助・救急搬送・林野火災消火、報道取材・人員輸送等の業務に最適。AW139は2004年のデビュー以降、世界のあらゆるユーザーに認められ、既に1,100 機以上を受注し、日本国内でも60機以上が活躍している。
機体全長:16.66m
機体全幅:4.22m
機体全高:4.98m
最大出力(離陸出力5分):1,679 SHP×2基
最大離陸重量:6,800/7,000kg
有効搭載重量:3,000/3,200kg
座席数(最大):17席(正副操縦士席を含む)

世界各国の納入、稼働実績

レオナルド製のヘリコプターは世界中約130ヶ国で4,600機弱が活躍している。そのうち約半数の2,500機強が民間機として登録されており、沖合に設置されている海上油田開発のプラットフォームまでの人員輸送やプラットフォームからの急患搬送などに使用される運航に絞ると、50ヶ国で約450機が活躍しており、ファミリー化された3機種(AW169, AW139,AW189)が95%の割合を占めている。

 

レオナルド(Leonardo S.p.A.)
レオナルド(Leonardo S.p.A.)イタリア、本社ローマ。1948年設立。2016年に社名をレオナルド(Leonardo S.p.A.)に変更。

レオナルド社の概要/レオナルドヘリコプターズは、レオナルド社のヘリコプター事業部門で、航空・防衛および安全保障の分野における世界的な大手。レオナルド社は、軍や官公庁、民間企業、市民に対し、陸・海・空、宇宙、さらにサイバースペース領域において、最先端の製品やサービスを設計・開発しており、現在150ヶ国以上でその製品やシステム、サービスが日々活用されている。全世界で50,000人以上の従業員を擁し、イタリア、イギリス、アメリカ、ポーランド、スイスの5主要拠点加え、世界中に戦略的パートナーシップを備えたネットワークを構築している。また、10,000人以上の社員が研究・開発に従事し、毎年売上の10%以上を研究開発に投資、技術革新を先導している。

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