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最終更新日:2026年09月12日

容量市場

環境ビジネス編集部
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容量市場とは、将来にわたる電力の安定供給を確保するため、発電された電気の電力量(kWh)ではなく、発電・放電できる供給能力(kW)をあらかじめ取引する市場制度である。電力自由化や再生可能エネルギーの普及に伴う卸電力市場価格の変動によって低下した発電設備への投資予見性を補い、国全体で必要な電力供給力を効率的に維持・確保する目的で2020年度に創設された。市場の運営は電力広域的運営推進機関(OCCTO)が担う。

制度の仕組みと取引の流れ

容量市場の中核となる「メインオークション」では、実需給年度の4年前にオークションを実施し、国全体で必要とされる供給目標量を一括して調達する。買い手となる電力広域的運営推進機関が設定した需要曲線に対し、発電事業者やアグリゲーターが応札を行い、約定価格を単一価格で決定するシングルプライス方式が原則として採用されている。

落札した電源等とは単年度の容量確保契約が締結され、対象の実需給年度において容量確保契約金額が対価として支払われる。この契約対価の原資は、電力需要やピーク実績に応じて小売電気事業者および一般送配電事業者が負担する「容量拠出金」によって賄われる。実需給年度の前年等には、需要の変動や脱落した電源の補填を行うための「追加オークション」も実施される。

対象となる電源とリソース

容量市場で取引されるリソースは多岐にわたり、既存および新設の火力発電、原子力発電、水力発電、地熱発電バイオマス発電などの基幹電源が幅広く対象となる。発電出力が天候に左右される太陽光発電や風力発電などの変動再生可能エネルギーも割引係数を適用した上で参加できるほか、系統用蓄電池の参加も認められている。

さらに、工場やビルの自家用発電設備や、電力需要を抑制するデマンドレスポンス(DR)を取りまとめた「発動指令電源」も供給力として応札できる。また、脱炭素電源への巨額投資を促すため、2023年度には原則20年間にわたり固定費回収を支援する「長期脱炭素電源オークション(LDA)」が容量市場の枠組み内に新設された。

実務担当者が留意すべきポイント

容量市場は電力ビジネスに携わる多くの事業者の収支や運用に直結するため、各主体の実務において以下の点に留意する必要がある。

  • 小売電気事業者における容量拠出金の管理:2020年度に落札された初年度分(2024年度向け)の実需給が2024年4月に開始されたことで、小売電気事業者への容量拠出金の請求が本格化した。拠出金の負担額は夏・冬のピーク時間帯における自社需要比率などに連動するため、料金メニューへの確実な原価反映とともに、蓄電池デマンドレスポンスを活用したピーク需要の抑制が収支管理上の防衛策となる。
  • 発電事業者・アグリゲーターの義務とペナルティ:落札事業者は容量収入を得る対価として、実需給年度に健全な稼働状態を維持する義務や計画停止の事前申請、発動指令への確実な応動(リクワイアメント)が求められる。事前の計画外トラブルによる停止や不応動が発生した場合には、契約金額の返還や違約金などのペナルティが課される。
  • 蓄電池等の収益スタッキング:系統用蓄電池やDRリソースを活用する事業者は、容量市場による固定費回収(kW価値)に加え、卸電力市場での差金決済(kWh価値)や需給調整市場(ΔkW価値)を組み合わせたマルチプレックスな収益化モデルの構築が求められる。
  • 電力需要家(法人企業)のコスト対策:小売電気事業者からの電気料金請求において容量拠出金相当額の転嫁が進んでいるため、法人のエネルギー調達計画においては電力コストの前提見直しやピークカット運用の検討が欠かせない。

最新動向と制度の見直し

2025年1月に公表された2028年度向けメインオークションでは、約定総容量が約1億6,621万kW、経過措置控除後の約定総額が約1兆8,506億円となり、過去最高水準を記録した。総平均単価は11,134円/kWであったが、エリア分断が発生した北海道・東北・東京エリアでは約定上限に近い14,812円/kWに達した。

資材価格の高騰や人件費の増加に加え、データセンターや半導体工場の新設に伴う将来的な電力需要の増大を踏まえ、経済産業省の審議会等では指標価格(Net CONE)や入札上限価格の引き上げ、シングルプライス方式の多段階化など、投資環境の変化に応じた制度見直しの議論が進められている。

【参考】

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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