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世界初、藻類バイオ燃料誕生 高い生産性誇るも実用化に壁

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ジェット機も飛ばす藻類バイオ燃料 化石燃料並みの航空燃料基準クリア

世界初、藻類バイオ燃料誕生
高い生産性誇るも実用化に壁

米国・カリフォルニア州のベンチャー企業、Solazyme社は、世界で初めての藻類由来のジェット燃料を開発し、独立系の研究所、「サウスウェスト研究所」によるテストで、従来の化石燃料と同等の性能が認められたと発表した。
同社によれば、この燃料は、米材料試験協会(ASTM)が定めるもっとも厳しい航空燃料基準、「D1655」を満たす11項目の条件をクリアしており、「既存のエンジンやインフラに使える商用・軍用のジェット燃料開発への最大のハードルを乗り越えた」(同社)という。

サンフランシスコ・クロニクルの報道によれば、同社は、2~3年以内には競争力のある価格でこのジェット燃料を大量生産したいとしている。実現すれば、CO2の排出削減に加え、燃料価格高騰の問題解決にもつながるため、航空会社などには吉報だが、慶応義塾大学先端生命科学研究所研究員・伊藤卓朗氏は、短期間での実用化には懐疑的だ。

というのも、「実用化のためには、大規模なプラントで実験と同質のオイルを効率的に製造できることが求められる。それが可能なプラントの開発というもう一段階を踏む必要がある」との判断からだ。

航空機

米運輸省、欧州航空航法安全機構(ユーロコントロール)、イギリスのマンチェスター・メトロポリタン大学、および技術会社の英QinetiQ社がまとめた報告書『商業航空による騒音と排出の世界的傾向:2000~2025年Trends in Global Aviation Noise and Emissions from Commercial Aviation for 2000 to 2025』によれば、世界の航空各社が排出するCO2の年間排出量は、2025年までには15億トンに達する見込みだという。
これは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測する最悪の値さえも上回る。この報告を受けて、EUは2011年1月から、EU-ETSの枠組みの中に国際航空部門を含める計画を発表、早ければ2009年には航空運賃に燃油サーチャージに加えてCO2サーチャージが加えられる。航空業界は、京都議定書の対象からは除外されているが、2013年からのポスト京都枠組みでは規制の対象になると見込まれる。


日本では慶応大とデンソーが共同研究

藻類ジェット燃料の原料となる藻類

藻類ジェット燃料の原料となる藻類

藻類からつくられた次世代バイオ燃料

藻類からつくられたバイオ燃料

3年以内の実用化の可能性は別として、バイオ燃料としての藻類の可能性には注目すべき点が多い。

まず、その生産性の高さだ。藻類は、1単位面積あたりの生産量が大きいとされるアブラヤシと比べても、2倍以上の生産性を誇る。また、とうもろこしや大豆などのように食料と競合しないため、食糧価格の高騰といった問題も引き起こさない(ただし、Solazyme社の場合、光合成ではなく、発酵のように糖類を使って藻類を繁殖させているため、穀類などの食物から糖類を確保すると、食用と競合する)。さらに、藻類は、荒地や休耕地など、食用の植物が生育できないような土地でも生産できるという強みもある。

こうした点から、藻類からバイオ燃料を作る研究は世界各国で進められており、なかでも米国では、「多くのベンチャー企業が参入し、民間からの投資も集まっており、現在は、研究フェイズから実用化への取り組みに移行している段階」(伊藤氏)と、他の国々をリードしている。

一方、日本はといえば、「藻類学としての研究は比較的早くから行なわれており、世界有数の研究実績を誇っている」が、バイオ燃料源としての研究は、米国の後塵を拝しているのが現状だ。

慶応義塾大学先端生命科学研究所でも、デンソーと共同でオイル産生効率を向上させるための研究を進めているが、まだ研究の段階を脱していない。食糧自給率も低く、活用できる土地も限られている日本にとって、藻類は有望な燃料源といえそうだが、現状では、日本のバイオ燃料政策はセルロース系バイオ燃料開発に集中している。藻類由来のバイオ燃料開発が進むためには、「産学官の連携強化、研究者の産業応用意識の向上などに加え、欧米規模の国の支援が必要」(伊藤研究員)といえそうだ。

原料作物 オイル生産性
(L/ha/y)
必要面積
(100万ha)
陸上面積比(%)
ダイズ 446 10,932 73.4
カラシ 572 8,524 57.2
ヒマワリ 952 5,121 34.4
ナタネ 1,190 4,097 27.5
ナンヨウアブラギリ
(jatropha)
1,892 2,577 17.3
アブラヤシ(oil palm) 5,950 819 5.5
微細藻類(30%,10g/m2/d) 12,000 406 2.7

微細藻類と他のバイオディーゼル原料作物との生産性比較

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