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宇宙太陽エネルギー利用システム実用化への第1歩

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「きぼう」国際宇宙ステーションへ取り付け

3人の日本人宇宙飛行士

3人の日本人宇宙飛行士。左から古川 聡さん(2011年春以降にソユーズに搭乗し、ISSに約6ヵ月滞在する予定)、若田光一さん(2009年2月にディスカバリーに搭乗し、ISSに約3ヵ月滞在する予定)、野口聡一さん(2009年12月以降、ソユーズに搭乗し、ISSに約6ヵ月滞在する予定)

宇宙飛行士の若田光一さんが、日本人として初めて国際宇宙ステーションに長期滞在する。約3ヵ月間の滞在中に、「きぼう」日本実験棟の「船外実験プラットフォーム」「船外パレット」のISSへの取り付け作業を行う。昨年、宇宙開発・利用の基本的枠組みを定めるための法律「宇宙基本法」が施行された。日本でもいよいよ宇宙開発が本格化してきた。その狙いの一つは地上の10倍の効率になると期待される宇宙太陽光発電だ。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2020年に1万kW級の商用パイロットシステムの実用化を目指す。その実現可能性と経済性を探る。

若田光一さん、日本人初の国際宇宙ステーション長期滞在

国際宇宙ステーション(ISS)

地上約400km上空に建設が進められている国際宇宙ステーション(ISS)。米国・ロシア・欧州・カナダなど世界15カ国が参加する国際協力プロジェクトで、日本はその一部となる「きぼう」日本実験棟を開発し参加する

米航空宇宙局(NASA)は、3月15日午後7時(日本時間16日午前8時)、日本人初の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在に臨む若田光一さんを含む7名の宇宙飛行士が搭乗したスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げに成功した。

4回の延期を経て、ついに打ち上げとなったディスカバリー。外部燃料タンクの制御弁の安全性の確認、水素ガスの漏れなど、様々なトラブルに悩まされた。ガス漏れが発生した部品の交換を経て、若田さんは宇宙に旅立った。

若田さんは、現在ISSに長期滞在中のサンドラ・マグナス宇宙飛行士と交代し、約3カ月間ISSに滞在する。

ディスカバリー号

ISSにドッキングしているディスカバリー号。2月のフライトでは約11日間ドッキングする予定

今後の予定だが、ロシアの宇宙船「ソユーズ」の打ち上げも近く、日程の調整では難しい判断を迫られているという。すでに宇宙での船外活動の回数を減らすことが決まっており、宇宙ステーションの建設を急ぎたいアメリカ側は、民間人の「宇宙旅行」を続けるロシア側に「宇宙ステーションの建設計画に、旅行者は想定外で、心配していた」(NASAの会見)など苛立ちを募らせている。

若田さんの役割は、スペースシャトルの運用全般を担当し、船外活動(宇宙遊泳)やロボットアームの操作、操縦手の補佐などを担当する「ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者=MS)」。約3ヵ月ISSに滞在した後、スペースシャトル「エンデバー号」(STS-127)の搭乗員とともに帰還する予定だ。

長期滞在中、若田さんは、ISS 第18次/第19次長期滞在クルーのフライトエンジニアとして、また宇宙航空研究開発機構(JAXA)軌道上実験主任として科学実験などを実施する。

日本実験棟「きぼう」の取り付け

さらに、もうひとつ今回の大きな目玉が、STS-127(2J/A*注釈)ミッションで運ばれてきた「きぼう」日本実験棟の「船外実験プラットフォーム」と「船外パレット」のISSへの取り付け作業だ。きぼうは、3回のスペースシャトルに分けて打ち上げられISSに取り付けられるが、本ミッションはその3回目にあたる。

過去にさかのぼってみると、きぼうが最初に打ち上げられたのは、2008年3月11日のこと。打ち上げ第1便にあたるSTS-123(1J/A*注釈)ミッションにおいて、土井隆雄宇宙飛行士が搭乗し、ISSに「船内保管室」を取り付け、整備を行った。ミッション期間中に撮影されたブーメランを投げる映像が印象に残っている方も多いのではないだろうか。

続いてきぼう打ち上げ第2便にあたるSTS-124(1J*注釈)ミッションでは、「船内実験室」と「ロボットアーム」が打ち上げられた。2008年5月31日、星出彰彦宇宙飛行士が搭乗。ISSのロボットアームを操作する初めての日本人として脚光を浴びた。

そして、今回の長期滞在クルーとなる若田光一宇宙飛行士。宇宙へは3度目のフライトとなるベテランで、1996年のSTS-72ミッションでは日本人初のMSとして、2000年のSTS-92ミッションでも日本人初のISS建設に参加したことで知られる。

日本が開発を担当する「きぼう」

日本が開発を担当する「きぼう」。宇宙飛行士が長期間活動できる、日本では初めての有人施設で、最大4名まで搭乗可能。「きぼう」は(1)船内実験室、(2)船外実験プラットフォーム、(3)船内保管室、(4)船外パレット、(5)ロボットアーム、(6)衛星間通信システムの6つの要素からなる。きぼうの建設や宇宙飛行士用のスーツやくつの製造には、さまざまな企業が関わっている。たとえば、船内実験室の空調設備を開発したのは航空宇宙関連機材の設計・製造会社「川西航空機器工業」。従業員わずか68人の小さな会社だが、技術力が買われて船内実験室の開発に携わることに。


船内実験室

きぼうの中心となる船内実験室。全長:11.2m、円筒形(外径:4.4m、内径:4.2m)。乾燥重量:15.9トン。地上と同じ1気圧の空気が保たれ、飛行士はシャツ一枚で過ごすことができる。微小重力環境を利用した実験のほか、天文観測、地球観測、材料の実験や製造、生活科学(宇宙医学・バイオなど)、通信などの実験が行われる。


本格化する宇宙太陽光発電

さて、若田宇宙飛行士が搭乗するSTS-119ミッションには、もうひとつ「ISS組立ミッション15A」というフライト名称が付けられている。文字通り、スペースシャトルによるISSの組み立てや補給のフライトになるわけだが、本ミッションでは「S6トラス」を運搬するのが目的。

ISSの最後のトラスセグメント(ISSの骨組み)となるS6トラスは、太陽電池で発電した電力をISS本体に供給するためのモジュールだ。発電した電力の電圧を変換したり、その電力をバッテリーに蓄えたりと、ISS各部へ一定供給する大切な機能を持つ。(1)「太陽電池パドル」、(2)「制御機器アセンブリ」、(3)「ロングスペーサー」で構成され、(1)は、S6トラス先端の両側にそれぞれ1基ずつ展開し、計2基で太陽光を集めて電力に変換するしくみだ。(2)は、発電した電力を蓄えるバッテリーや電力供給を制御する機器、その機材を冷却するラジエータから成る。(3)は、S6トラスの構成要素全体を支え、S4トラスの太陽電池パドルとの間隔を確保する役割を担う。軌道上展開時には全長13.84m、14.09トンもの重量になるという。

順調に進めば、飛行4日目にシャトル貨物室からS6トラスが取り出され、飛行5日目に船外活動(EVA#1)を行い、S6トラス設置・展開準備作業がスタートする。若田宇宙飛行士は、ISSのロボットアーム(SSRMS)操作で貨物室からS6トラスの取り出しやトラス上の移動、SSRMS操作でS6トラスをISSへ結合するなどの担当業務を担う。

ミッションSTS-116のクルーたち

国際宇宙ステーションは、人類史上最大の建造物になる見込みで、そのため、すべてを一度に運ぶことができない。そこでパーツごとにスペースシャトルで運ばれる。ISSにはトラス部とそれを安定させるための電気と冷却液を必要としており、このトラス部は15mの長さがあり、重さは10トンもある。写真に写っているのは2006年のミッションSTS-116のクルーたちでアメリカ人のロバート・L・カービームとスウェーデンのクリスター・ファグルサン

太陽光、光通信、ロボット 日本の技術の粋が結集

また、STS-119ミッションは、STS-126ミッションで運搬・設置した「水再生システム(WRS)」の修理と点検を行う目的も持つ。WRSは、米国のトイレで回収した尿を蒸留して水に変え、空気中の湿度をエアコンで除湿して、回収した水や使用済みの水と一緒にろ過・浄化・殺菌処理し、飲料水や宇宙食調理、トイレ洗浄水などに使用するシステム。

再生された水は、米国の酸素生成装置(OGS)を使用した酸素の精製にも使われる。現在、ISSに設置後90日間の試験運用中だが、トラブルが発生しているために、今ミッションで調整・点検等が実施されるという。

「人が生活することのできる宇宙基地を10年以内に建設する」-1984年、当時のレーガン大統領が発表し、ISS計画が本格スタートしてから25年余り、いまや15カ国が参加する国際共同プロジェクトとして、飛躍の一途をたどっている宇宙開発。日本がそこで求められる役割、そして、産業活動を宇宙に活動範囲を広げる意義は、大きい。太陽光、光通信、エレクトロニクス、ロボットなど日本が得意とする分野は幅広い。

世界の国々と調和を図りつつ、科学的知見を増やし、高度な技術を結集して、宇宙環境利用を推進していくことが期待されている。

*注釈=組立てフライト名の「J」は日本関連のフライト、「A」は米国関連のフライトを指す。
Ex.2J/Aは、日本と米国の要素をISSに運ぶ2回目の組立てフライトであることを示す。

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