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2010年代の物流戦略委員会最終取りまとめ/国土交通省

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アジアに広がるサプライチェーン 物流管理の課題と戦略を策定
―ジャストインタイム偏重から全体最適化へ

2010年代に向けた物流戦略委員会最終取りまとめが発表され、サプライチェーンのグローバル化に伴う物流の課題と方針が打ち出された。議論を通じ、企業の競争力と国としての競争力を高める物流のあり方が検討され、少量多品種多頻度物流やジャストインタイムの弊害を見直し、全体最適化によりトータルな環境負荷低減が必要であると認識された。

アジア新興国での物流円滑化が企業競争力の重要課題に

アジア新興国の経済成長、内需拡大から、日系企業のアジアへの進出が進むなか、物流は大きな課題となっている。アジア新興国では円滑に物資を輸送できないケースが生じているのが現状だ。そんななか、物資の域内移動の円滑化による日本企業の国際競争力の強化、資源・エネルギー等の安定的・効率的な輸送、製品や食料・食品の輸入に係る国際物流の安定的な供給と品質の向上といった課題に対処すべく、産官学のオピニオンリーダーらが集い「2010年代の物流戦略委員会」が行われ、このほど最終取りまとめが公表された。

海上輸送におけるCO2削減へ4カ年計画で支援事業が発足

物流戦略において環境負荷を抑えた「持続可能な物流システムの構築」は重要課題のひとつであるため、国交省は平成21年度から4カ年計画の「船舶からのCO2削減技術開発支援事業」をスタートさせた。

同事業には三井造船、ヤンマー、日本郵船などが参画、抵抗を抑え、プロペラ効率の向上を目指す技術開発を進める。

行き過ぎたジャストインタイムの弊害が認識される

消費者ニーズの多様化に伴い、少量多品種の製品をジャストインタイムで納品、流通在庫をミニマム化するなど、多頻度かつハイスペックな物流サービスが求められてきた。しかし、このような実態が運輸部門における温暖化ガスの排出増につながっているとして、見直しが必要なことが国交省および産学の委員のあいだで認識された。

花王の事例

花王の事例

湯浅コンサルティングの内田明美子委員の報告によると、多頻度少量注文を繰り返しているB店は他店と比較して売上げは0.6倍、コストは1.7倍となっており、環境負荷を高めるだけでなく、収益上も大きなマイナスであることが明白である。手厚い物流サービスには「トラックの小型化・低積載」「出荷作業の負荷」「管理の低下による欠品、返品廃棄ロスの発生」「店頭品出し作業負荷の増大」などが認められ、改善の必要がある。

これに対して、発注単位の見直しにより、発注頻度を従来の1/3にすることにより、若干の在庫増はあったものの、発注件数、補充作業、欠品がいずれも削減できた花王の事例から、改善の方向性が明らかにされた。

A店 B店
取扱アイテム数 36 63
注文行数 114(1個注文:6行) 196(1個注文:95行)
1アイテム当たり売上げ 5,109円 1,655円
売上げ金額 183,913円 104,236円
出荷コスト/売上げ金額 3.2% 5.3%

多頻度少量注文を繰り返している店舗(B)と同一チェーンの平均的店舗(A)の比較
(出典)内田明美子氏(湯浅コンサルティング)作成資料

物流負荷の見える化を推進

また、これまで「グリーン物流パートナーシップ」などを通じて運送会社と荷主のあいだの意識の共有が諮られてきたが、今後はさらに物流による環境負荷を見える化することで、最終消費者への理解を促す必要性が確認された。具体的には鉄道貨物輸送を活用し、環境負荷低減に取り組んでいる商品・企業であることを表示するエコレールマークの掲示推進や、炭素の足跡を示すカーボンフットプリントの推進などに積極的に取組んでいく方針が示された。

移動式電源車

エコレールマークとは、鉄道貨物輸送を活用し、地球環境問題に積極的に取り組んでいる商品・企業であることを表示するマークのこと(平成17年創設)。「エコレールマーク運営・審査委員会」(委員長:苦瀬博仁東京海洋大学教授)により、審査・認定される。物流における環境負荷低減の取組みは消費者の目に触れにくいため、企業の商品、カタログ等消費者の目に触れやすい媒体への表示を行うことにより理解を促すことを目的として、(社)鉄道貨物協会が創設した。一般の認知度が低いことから、国交省では今後広報活動にいっそう力を入れていくとのこと


エコレールマークの認定基準

商品の認定基準 500km以上陸上貨物輸送のうち30%(※)以上、鉄道を利用している商品
※ 数量または数量×距離の比率
取組企業の認定基準 500km以上陸上貨物輸送のうち15%(※)以上、鉄道を利用している企業
※数量または数量×距離の比率・数量で年間1万5000トン以上または、数量×距離で年間1,500万トンキロ以上の輸送に鉄道を利用している企業

認定のための審査費用は無料。「エコレールマーク商品」「エコレールマーク取組企業」と認定されると、(社)鉄道貨物協会とエコレールマーク使用契約を締結。契約期間は2年間で、1企業あたり10万円(1年分:消費税別)の使用料を、2年分一括(20万円:消費税別)で納入する。企業と商品の両方の認定を取る場合、あるいはどちらかの認定を追加で取る場合、さらに商品について、追加で別の商品の認定を取る場合、いずれも1企業あたり10万円(1年分:消費税別)以外の追加料金は不要

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