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高価な放射線測定部品のコスト半減 日本企業、新製法で米企業の独占打破

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高価な放射線測定部品のコスト半減 日本企業、新製法で米企業の独占打破

アンペール(東京都新宿区)は、放射線検出の主要な部品であるシンチレータについて、価格を大幅に下げることに成功した製品の販売を3月から開始する。

同製品は、ユニオンマテリアル(茨城県北相馬郡)が開発したヨウ化ストロンチウム単結晶を低コストで製造する技術を利用したシンチレータの独占販売権を同社が獲得し、製品化・販売を開始するに至ったもの。

販売を開始するSrI2(Eu)シンチレータ(直径25mm長さ25mm)のサンプル価格は50万円(税別)。従来の半分の価格で提供する。また、別途販売パートナを募集しており、現在3社と契約を進めている。

シンチレータとは、放射線の入射により蛍光を発する物質の総称であり、放射線測定主要部品。ヨウ化ストロンチウムSrI2(Eu)シンチレータは、これまで一般的であったヨウ化ナトリウムNaI(Tl)に比べて2倍以上の高発光出力と、4%以下の優れたエネルギー分解能を発揮する次世代のシンチレータ。しかしながら、これまでは米国RMD社が独占的に販売しており、非常に高価だった。

ユニオンマテリアルが開発した製造方法は、永年の研究開発の過程で完成した溌液結晶化法に基づくもの。同社は多量に水分を含む安価な材料から結晶を作る技術の開発に成功し、従来の半分の価格での提供が可能とした。エネルギー分解能と発光感度が高く、雑音が少ないSrI2(Eu)シンチレータを利用すれば、特に、放射線源の核種を正確に判定できるので、放射線測定機器の性能を大幅に改善することが可能。

紫外線照射で青く発光

紫外線照射で青く発光

アンペールは、本製品提供の背景について以下のように説明している。ユーロピウム(Eu)を微量添加したヨウ化ストロンチウムの単結晶は、ガンマ線を受けると青く発光する性質があり、この光を光電子増倍管(PMT)で増幅して電流に変換して、間接的に放射線量とそのエネルギーを測定する。現在、放射線測定用シンチレータの市場では、核種弁別能力(エネルギー分解能)が比較的低く安価なヨウ化ナトリウム(エネルギー分解能7%程度)の使用が一般的だが、核種弁別にはエネルギー分解能のより高いものが求められている。そこで、前述の特性をもつSrI2(Eu)シンチレータが次世代の製品として期待されている。

しかし、前述の通り、既存品は米国RMD社のみで、その価格も1インチ径で1個100万円程度と、非常に高価で入手も容易でないという現状がある。これは、1ppm(ppmは100万分の1)以下と極めて水分の少ない原材料を使う必要があり、また、独占的であることからも非常に高価になっていると考えられている。RMD社は、莫大な国家予算をかけ一流の研究者たちを結集して2003年から進められた、米国ホームランドセキュリティ計画のための高性能シンチレータ開発の成果をもとに、2012年に製品化した。

RMD社はEu添加量1.6%以上のSrI2に関する特許を有するが、ユニオンマテリアルでは、結晶の品質を極限まで高めることによって、Eu添加量1.6%未満でも充分な発光量が得られることを確認しており、この範囲のEu添加量に関する特許は既に失効している。櫻木社長は、今後製造設備の改善と増強を進めてコスト低減を図ると共に、引続き1.5インチや2インチの結晶製造に挑戦すると述べている。

アンペールは1971年10月の設立。コンピュータ(ハードウェア・ソフトウェア)応用機器・周辺機器装置等の開発、製造、販売を行っている。シリコンなどに関するユニオンマテリアルとの長い共同技術開発などを経て、今回本製品の総販売代理店としての指定を受け、今回の発表に至った。

東日本大震災による福島第一原電の大爆発と炉心のメルトダウンによって、非常に広い範囲に多量の放射性物質が放出された。この未曾有の大事故およびその後の被害の拡大は、現在も解決の見通しさえ立っていない。このことから目に見ることの出来ない放射線を測定する機器に対する需要は、プロだけでなく、地方自治体、NPOや一般家庭にも浸透する程に高くなっている。

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