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5年後、再エネ電力の国民負担は年間2兆円超え 賦課金の研究レポートが指摘

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5年後、再エネ電力の国民負担は年間2兆円超え 賦課金の研究レポートが指摘

電力中央研究所社会経済研究所は、主任研究員の朝野賢司氏の研究成果をまとめたディスカッションペーパー「太陽光発電・風力発電の大量導入による固定価格買取制度(FIT)の賦課金見通し」を発表した。なお、本レポートの意見にかかる部分は朝野氏のものであり、同研究所又はその他機関の見解を示すものではない。

再エネ賦課金とは、再生可能エネルギー電力の買い取りに要する費用を、電気料金とともに需要家が負担するもの。本レポートによると、FITが2014年度で廃止されるという極端な想定をした「FIT廃止ケース」の場合でも、2020年度頃には、年間の再エネ賦課金額は年間2兆円を超える見通し。

朝野氏は、「FIT廃止ケース」の場合でも今後の賦課金額は莫大なものとなるとし、既に太陽光発電設備認定は莫大であるため、賦課金を抑制する方策は限られるが、上限や入札等の実施により、少ない費用で、できるだけ多くの再エネ供給を得る、効率性の観点に立ち返ることが重要であると指摘する。

本レポートの概要は以下の通り。本レポートでは、今後の買取価格や買取見込み量の想定を置いた上で、再エネ比率と賦課金単価・年間賦課金額の推移・累積賦課金額を、FITの設備認定が2014年度で終了する「FIT廃止ケース」と、太陽光発電(PV)・風力発電が大量に導入される「最大ケース」について試算した。なお、本レポートでは、5つのケースについて試算を行っているが、レポートの概要では、前述の2つのケースに着目して紹介している。

具体的には、FITの設備認定が2014年度で終了する「FIT廃止ケース」は、PVの接続可能量が設定された電力各社では、これを超過した導入は行われない/接続可能量が未設定の中三社では、2013年度に各社エリアで認定されたのと同じ量が2014年度にも認定・導入される/その他再エネは2014年10月末時点の認定実績まで導入されるというもの。

「最大ケース」は、PVは2030年時点で累積導入量1億4000万kWに、風力は同1140万kWに到達する/その他再エネは、2014年度と2015年度は2013年度実績と同量が導入されるというもの。

第1の結論として、再エネ比率は「FIT廃止ケース」で20.6%、「最大ケース」で29.8%である。2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」の再エネ水準と比較すると、前者はほぼ同程度、後者は大幅に上回る。

第2に、ピーク時の年間賦課金額・同賦課金単価、および累積賦課金額は、「FIT廃止ケース」で2023年度に2.6兆円(2.96円/kWh)、累積53兆円、「最大ケース」で2032年度に4.1兆円(4.72円/kWh)、累積84.8兆円となった。

「FIT廃止ケース」では、2020年代前半にピークを迎え、この水準の年間賦課金額が約10年間継続する。

朝野氏は、日本は、FIT先行国が直面したPVバブルという失敗に学ばず、導入上限等の対策が未だに取られておらず、その結果、2020年度頃には年間2兆円を超え、ドイツ(2012年実績2.2兆円)に匹敵する世界最大規模の賦課金負担が生じうると危惧している。

朝野賢司氏は、電力研究所社会経済研究所の主任研究員。研究分野はバイオマス再生可能エネルギー。同研究所では、電気事業と社会、経済、技術の関わりについて、役に立つ研究成果をタイムリーに発信することを目指し活動を行っている。

【参考】
電中研 - 太陽光発電・風力発電の大量導入による固定価格買取制度(FIT)の賦課金見通し

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