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電力小売参入企業は要チェック 電力自由化後のインバランス料金の計算式(案)

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経済産業省は、3月31日に、電力の小売全面自由化後の固定価格買取制度(FIT)における回避可能費用の算定方法について検討する買取制度運用ワーキンググループ(第5回)を開催した。

昨年、本ワーキンググループ(WG)において回避可能費用の算定方法の見直しを行った際には、小売全面自由化を前提とした議論とはしていなかった。そこで、新エネルギー小委員会の委任を受け、本WGを再開し、小売全面自由化後の回避可能費用の在り方について、改めて検討を行うこととなった。今回はその議論の2回目。

新たな回避可能費用単価の指標は「30分毎の価格」で

新たな回避可能費用単価の指標として、スポット市場価格またはスポット市場価格と1時間前市場価格との加重平均を用いる場合でも、(1)30分毎の価格そのものを用いる、または、(2)平均値を用いる(例えば、昼夜間平均値や月間平均値等)のいずれが適当かについて検討。需給状況に応じて随時変動する市場価格を適切に回避可能費用に反映させるため、30分毎の価格を用いることを原則とすることが適切との事務局案が示された。

すべての小売電気事業者を同様に回避可能費用を設定

回避可能費用を設定する上で考慮すべき事項では、現:一般電気事業者と現:特定規模電気事業者(新電力)における回避可能費用の差異の要否について検討した。

現行ルールでは、新電力の回避可能費用について、新電力自身のコストデータを求め、それに基づき回避可能費用を算定する場合、行政コストのみならず事業者の負担が過大になる恐れがあることから、便宜的に、一般電気事業者の回避可能費用の加重平均により代替することとしている。小売全面自由化後、一般電気事業者の小売部門は、新電力と同様に法律上同じく小売電気事業者と位置づけられることになる。

また、回避可能費用が卸電力市場価格に連動することになれば、コストデータを把握することにより生じる事業者負担を考慮する必要がなくなる。したがって、事務局は、小売全面自由化後は、回避可能費用の算定方法において、すべての小売電気事業者を同様に扱うこととしてはどうかとの案を示した。

回避可能費用における変動性電源と非変動性電源の扱い

小売電気事業者が変動性電源のバックアップを長期契約で調達する場合を含めて、市場価格ベースで回避可能費用を設定することとし、将来において、容量市場が整備された場合には、必要に応じて、その価格を長期契約の回避可能費用に反映することが一案ではないかとの意見が提示された。

「インバランス」リスク総額の具体的な精算方法(案)について

前提として、まず「インバランス料金」と「FITインバランス特例制度」について解説する。

電力の需要量と供給量との差分を「インバランス」という。これまで新電力(PPS)には、作成した発電計画に対し「30分同時同量」(30分単位の需要量と供給量の差を±3%以下にすること)が課せられてきた。大きなインバランスが生じてしまった場合は、PPSが系統管理者(現:一般電気事業者)にペナルティ料金を支払う必要があるが、これを「インバランス料金(インバランスリスク)」という。

これまではこのインバランス料金が高く、PPS事業参入への障壁となってきた。電力システム改革では、この「30分同時同量」制度から、事前に提出された発電計画をもとにインバランス料金を精算する「計画値同時同量」制度へと変更される予定だ。

さらに、発電計画に関しては、固定価格買取制度に関わる「FITインバランス特例制度」が存在する。特定供給者(発電事業者)に代わって一般送配電事業者が発電計画を作成する仕組み(特例制度1)と、小売電気事業者が発電計画を作成する仕組み(特例制度2)だ。

今回のWGでは、この「FITインバランス特例」の(1)、(2)において、一般送配電事業者と小売電気事業者が負担するインバランスリスク等の総額の算定についても検討する必要があり、下記のような考え方が示された。

  1. インバランスの発生率を勘案することなく、実際の発電量が大きい場合により多くのインバランスリスク(総額)を認める。
  2. インバランスの発生率を勘案し、日本全国のFIT電源の平均的なインバランス費用よりも実際の費用を抑制するためのインセンティブを制度上盛り込む。

上記の考え方に基づき、インバランスリスクを算定する方式として、以下の2つの案が示された。

(案1)インバランスリスク単価×実際の発電量(kWh)

※リスク単価×発電量

(案2)インバランスリスク単価×(全国大のFIT発電インバランス(kWh)/全国大のFIT電源の実際の発電量(kWh))×実際の発電量(kWh)

※リスク単価×インバランス発生率×発電量

いずれの案においても、制度開始当初からこの仕組みを導入することが技術的に可能か、精査が必要だとしている。

前回のWGの議論

なお、前回WGでは以下の事項について議論した。

  • 小売全面自由化後の回避可能費用単価を市場価格連動ベースとして設計する
  • 回避可能費用の算定に当たり、変動性電源と非変動性電源との差を考慮するか否か
  • FITインバランス特例(1)、(2)における回避可能費用の基本的な考え方
    (インバランスリスクは回避可能費用の外で処理)

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 買取制度運用ワーキンググループ(第5回)

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