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電力自由化後、「省エネ法」はどうなる ベンチマーク制度の対象範囲拡大か

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経済産業省は、3月31日、省エネルギー小委員会(第11回)を開催し、電力自由化等に伴う状況変化に向けた、電力分野に対する省エネ法のあり方について議論した。

民生分野のエネルギー消費量の増大が大きな課題になっていることに加え、電力自由化等に伴って、発電事業や小売事業に多くの新規参入があった場合には、電力分野でのエネルギー消費構造に大きな変化を及ぼすことも考えられる。そのため、省エネルギー小委員会におけるこれまでの議論の中間的整理(2014年12月25日)では、電力分野における省エネを適切に促進する施策のあり方について検討することを求めている。

今後の発電事業における省エネルギーでは、一般・卸電気事業者が運営するような発電施設では想定されなかった小規模発電施設や自家発電施設の性格を考慮した上での「電力分野のベンチマーク制度の見直し」や「発電専用設備に関する判断基準の見直し」など必要な規制が論点としてあげられた。

また、今後の小売・送配電事業における省エネルギーでは、電気料金メニューなど多様な供給条件の出現が想定される中での、一般家庭・小規模店舗など消費者の省エネや電気需要平準化(ピーク対策)の取組みを促進するための施策が論点となる。

今後の発電事業における省エネについて

省エネ法では、原油換算で年間1500kl以上のエネルギーを消費する発電事業者に対して、定期報告提出等によって適切なエネルギー管理を求めている。また、ベンチマーク制度では、一般・卸電気事業者を対象に中長期的に目指すべき水準を設定している。

一方、共同火力・共同発電事業者(一般・卸電気事業者と他の事業者の共同で設立の事業者)や独立系発電事業者(IPP)、発電事業を副業とする事業者は、ベンチマーク制度の対象外。一般・卸電気事業者の運用する発電所に比べ、IPPや発電事業を副業とする事業者は小規模な発電所を中心に運用している状況だ。

中間的整理では、電力自由化後を見据え、電力供給業に対するベンチマーク制度の対象とする具体的な範囲の見直しが必要とされている。また、発電設備の省エネ指標のあり方の検討に当たっては、大規模な設備と比べ一般的に効率の低いものが多い小規模な火力発電設備への適用のあり方も含めて検討し、高効率の発電設備設置や発電設備の運用改善を促すべきであると指摘している。

電力小売・送配電事業における省エネについて

省エネ法では、小売機能や送配電機能を持つ一般・特定・特定規模電気事業者に対し、電気使用状況に関する情報提供等によって、消費者の電気需要平準化に資する活動を求めている。

中間的整理では、小売・送配電事業では「情報提供の充実による消費者の省エネ行動の促進」「エネルギーマネジメントビジネスの活性化を通じて、消費者の省エネの深掘り」「デマンドレスポンス普及のための環境整備」の必要性があげられている。

一般家庭向け電気料金メニューの構想として、特定の製品やサービスとのセット価格として、料金割引やポイント付与、定額料金制などが報道されている。電気・ガスのセット販売などを行う総合エネルギー企業が現れた場合、そのエネルギー提供のあり方が一般家庭のエネルギー消費行動に与える影響はより大きくなることから、総合エネルギー企業による一般家庭の省エネ取組みの促進が大きな検討課題になると捉えている。

ネガワット取引の普及にも期待

デマンドリスポンスとは、供給力を積み増す代わりに、エネルギーの供給状況に応じてスマートに消費パターンを変化させることで、需給バランスを一致させようとする取組みである。デマンドリスポンスなど需要抑制の取組みにより生み出された供給力(ネガワット)を活用する動きも始まっている。

「ネガワット取引」は現在では新電力をはじめとする一部の電気事業者による取組みに留まっているが、電力システム改革の進捗に伴って普及していくことが期待されている。

その活用を促す制度的対応も進めらており、経済産業省が、3月に「ネガワット取引」に関するガイドラインを策定したところである。また、ネガワットについても、発電した電気と同様に、送配電事業者によるインバランス(消費電力量と発電電力量との差分)調整の対象とする制度を電気事業法改正で新たに導入した。これにより、ある小売事業者から供給を受けている需要家が自らの需要を抑制することで生み出した供給力を、他の小売事業者に対して卸市場で円滑に販売できるようになり、ネガワットの卸取引の活性化が促される。

ベンチマーク制度とは

特定の業種・分野について、当該業種に属する事業者の省エネ状況を業種内で比較できる指標(ベンチマーク指標)を設定し、省エネの取組みが他社と比較して進んでいるか遅れているかを明確にし、非常に進んでいる事業者を評価するとともに、遅れている事業者には更なる努力を促すための制度のこと。(経済産業省サイトより)

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会(第11回)

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