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新しい1歩を踏み出せるか。着々と進む気候変動の議論

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国連気候変動枠組条約の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」第2回会合第10セッションが、8月31日~9月4日、ドイツ・ボンにおいて開催された。

今年末にフランス・パリで開催されるCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)では、2020年以降の温室効果ガス排出削減の新たな国際枠組み(ポスト京都議定書)の採択が予定されている。

ADPは、2011年末に南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17での決定を受け設置された。(1)2015年に採択される予定の、全ての国に適用される2020年以降の新たな枠組み(ワークストリーム1)および(2)2020年までの緩和の野心の向上(ワークストリーム2)について議論を行っている。

なお、次回会合は10月19日~10月23日にドイツ・ボンにおいて開催される予定。

環境省が、今回の会合の結果概要について以下のとおり、取りまとめている。なお、以下「法的合意」は「議定書、別の法的文書、又は法的効力を有する合意された成果」を、「2015年合意」は法的合意、COP21決定、その他文書のパッケージを意味する。

1.2020年以降の新たな枠組みについての議論(ワークストリーム1)

本年2月に2015年合意の「交渉テキスト」が配布された。7月24日には、これを共同議長が法的合意に含める事項(Part1)、COP21決定に含める事項(Part2)、その他位置づけについてさらなる明確化が必要な事項(Part3)に整理した「共同議長ツール」という文書が公表され、今次会合では同文書を元に議論が行われた。

引き続き「交渉テキスト」の章(緩和、適応/損失と損害、資金、技術開発・移転、能力開発、行動と支援の透明性、目標の時間枠及びプロセス、等)ごとに、共同議長から任命された共同ファシリテーターの下で議論が行われるとともに、各ファシリテーター会合の下で特定の要素について議論する非公式会合が行われた。

今回の議論を踏まえ、次回会合においては、起草委員会を設け、テキスト交渉を行うとともに、その過程で必要に応じて共同ファシリテーターによる非公式な会合を開催すること、共同議長が10月の第一週までに、「交渉テキスト」及び「共同議長ツール」に対する各国の反応を踏まえた、テキスト交渉の基礎となる文書を公表することが発表された。

主なポイントは以下のとおり。

(ア)緩和

特に世界全体の努力としての長期目標等、各国の削減目標に係る規定、野心の向上を法的合意に含めることについては一定程度意見の収斂が見られたが、その詳細な内容については意見が分かれた。また、非公式の少人数会合において、先進国と途上国の差異化、市場メカニズム、土地利用とREDD+(途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等)等の議題が扱われた。

(イ)適応/損失と損害(ロス・アンド・ダメージ)

主にグローバルゴール/長期ビジョン、各国の努力、各国の経験や知見等の共有や学び合い、関係機関、支援、損失と損害等の要素について、各国・グループの考えを共有し、意見の一致・相違が見られる点について、一定程度の理解が深まった。また、非公式の少人数会合において、適応への支援等の議題が扱われた。

(ウ)資金

2015年合意に含めるべき要素、特に目的、資金源、資金メカニズム等について議論が行われた。途上国側は、主に適応分野の重視、二分論を含む枠組条約の原則、公的資金による確実な支援等が規定されることを主張したのに対して、日本を含む先進国側は、2015年合意には、能力のある全ての締約国による支援と民間資金の活用、実現可能な環境等が含まれるべきとの立場を表明した。

(エ)技術開発・移転

法的合意に含めるべき要素について議論を行った結果、技術の重要な役割の認識、協調行動、技術に関する組織的アレンジメントの位置づけについては、法的合意に含めるべき要素として意見の収斂が見られた。その詳細な内容についても非公式の少人数会合において議論されたが、意見が分かれた。

(オ)透明性

法的合意に透明性の枠組みの原則等を位置づけ、詳細はCOP21決定又はその後のCOP決定に位置づけること、先進国から途上国への支援の重要性、透明性の質を継続的に改善させる必要性については一定の収斂が見られた。一方、先進国は全ての国に共通な枠組みを主張したが、途上国から、先進国・途上国に二分化された既存の枠組みを継続すべき、支援の透明性を強化すべき等の意見があった。また、非公式の少人数会合において、先進国と途上国の差異化等が議論された。

(カ)目標の時間枠及びプロセス

個別の約束草案のプロセス(提出・見直し・レビュー等)や加盟国全体の取組みの確認のタイミング等について、各国から様々なアイデアが提案された。多くの途上国から本章の対象をすべての要素(緩和、適応等)とすべきという主張があったが、日本を含む先進国は、各要素に応じて異なるプロセスを検討すべきと主張した。また、非公式の少人数会合において、各国が提出した約束草案の「置き場所」(2015年合意にどう位置づけるか)の議題が扱われた。

(ク)この他、実施の促進及び遵守

その制度のあり方、手続・組織事項については、発効要件や法的合意のための組織について議論が行われた。

(ケ)日本の立場

日本は、新たな枠組みは全ての国が参加する公平かつ実効的なものであるべきという立場を主張するとともに、同じ章の中のパラグラフ間の関連性、異なる章の間の関連性を認識して議論すべき、法的合意には、原則レベルの内容を規定した簡潔なものとした上で、法的合意の実施のための施行細則を策定するための作業計画をCOP21決定に含めるべき等と主張した。

緩和、適応/損失と損害等、個々の項目に対する立場・対応については、環境省のホームページを参照のこと。

2.2020年までの緩和の野心向上(ワークストリーム2)

2020年までの緩和の野心向上に関してCOP21決定に含めるべき内容について、「共同議長ツール」を踏まえつつ、ファシリテーターの下、議論が行われた。特に「技術的検討プロセス」及び途上国の提案する「実施促進プロセス」については、これらを集中的に議論する非公式会合が行われた。

「技術的検討プロセス」について、緩和の野心向上の強化のため、非政府主体との連携を適切な形で進めること、技術開発・移転を促進するための既存の機関を活用すること、本プロセスへの政治的関与を高めることなどについては多くの国の合意があった。途上国はこれに加えて、適応、実施手段などを幅広く本プロセスの対象とすべきと主張したが、日本を含む多くの先進国は、適応や実施手段に関しては既に数々の取組があり、重複を避けるべきと指摘した。

「実施促進プロセス」について、日本を含む多くの先進国は、2020年以前の取組みの実施状況を評価し促進する既存の取組みを活用すべきと指摘したが、途上国は、緩和、適応、資金等の幅広い分野の取組みを集約的に評価する新たなプロセスを立ち上げることを強く主張した。

これらの議論や各国の提案等を踏まえ、共同議長及びファシリテーターにおいてテキスト交渉の基礎となる文書を作成の上、次回会合に十分先立って示すことが合意された。

3.他国やステークホルダー等との対話

本会合に、日本からは、外務・経済産業・環境・農林水産・国土交通各省関係者が出席した。様々な交渉グループに属する国々と緊密な意見交換を行うとともに、国内外のNGOとの意見交換、邦人記者に対するブリーフを行った。

【参考】
環境省 - 強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第10セッション(ADP2-10)の結果について

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