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「光吸収率が低くても、高効率太陽電池の素材になる可能性」 東大が理論確立

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「光吸収率が低くても、高効率太陽電池の素材になる可能性」 東大が理論確立

東京大学大学院は、より高効率な太陽電池を実現する物質探索の指針となる原理を確立したと発表した。環境へのエネルギー散逸が、光から電流への変換を助け、太陽光発電に有効的に働くという、一見逆説的な原理を、理論計算により確立した。

 

一般的には「光吸収率が高い方が高性能」

太陽電池は、環境へのエネルギー散逸を極力減らすことで高効率変換するという考えが、現在の常識的な原理だ。太陽光から電流への変換の基本法則は量子力学に従い、光の量子である光子によって励起された太陽電池内の高エネルギー電子を電極に取り出すことで、起電力が生じ電流が流れる。従って、高効率変換の実現のためには、光子による高エネルギー電子の励起(光吸収)が高い確率で行われる必要がある。

一方で、良く光を吸収するとその逆過程(発光)も同じ確率で生じてしまうため、励起された電子の寿命が短くなり、電極に取り出す前に発光で消えてしまう。この励起確率と寿命の二律背反関係は、可逆的な量子力学では原理的制約だ。吸収と発光が連動するため、従来「よく光る物質」の方が良い太陽電池候補と考えられてきた。

光合成からヒントを得た、常識に反した新原理

今回、同研究グループは、植物の光合成からヒントを得て、太陽光から受け取ったエネルギーに比べ少量のエネルギーを環境へ散逸させることにより、電子を「光らない暗状態」へ不可逆的に遷移させ、量子力学の制約を一時的に外すことで二律背反を避ける原理を示した。この時、エネルギー散逸は電子の量子的な動きを「古典化」させるように働き、「時間の矢」を生みだす。その結果、高確率で励起された電子の長寿命化が実現される。

単層カーボンナノチューブにおける粒子数変化

単層カーボンナノチューブにおける粒子数変化

原理の実証は、次世代の太陽電池セルの候補物質の一つである単層カーボンナノチューブを例にとり、7桁以上に渡る時間スケールの変化をシミュレーション解析して行われた。これにより、従来の常識に反して、実は「光らない物質」の中にこそ未来の高効率太陽電池の候補があることがわかった。

この研究成果は、11月6日付けの米国物理学会速報誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載される。

【参考】
東京大学工学部 - 太陽光発電の効率を上げる新しい指導原理の確立
Physical Review Letters - Toward Efficient Energy Conversion of a Solar Cell

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