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日本の新たな気候変動・経済社会戦略 CO2削減には社会構造の変革が必要

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日本の新たな気候変動・経済社会戦略 CO2削減には社会構造の変革が必要

環境省は、気候変動長期戦略懇談会において、日本が直面する温室効果ガスの大幅削減と構造的な経済的・社会的課題の同時解決を目指すための中長期的な「気候変動・経済社会戦略」を議論し、その結果を取りまとめた提言を公表した。

本提言では、日本において、2050年に向けた温室効果ガス削減の長期戦略の策定が必要だとしている。また、長期戦略に「グリーン新市場の創造」「環境価値をてことした経済の高付加価値化」「地方創生」「国益の確保と国際的尊敬の獲得」を導くものなど、環境・経済・社会の統合的向上を図るための総合的な施策を盛り込むことを求めている。

提言の構成

  • 第1章 気候変動に関する科学的知見と国際的なコンセンサス
  • 第2章 温室効果ガスの長期大幅削減の道筋
  • 第3章 我が国の経済・社会的課題とその解決の方向性
  • 第4章 気候変動問題と経済・社会的課題の同時解決に向けて

本提言では、気候変動問題と経済・社会的課題の同時解決を目指す社会構造のイノベーションの方向性は共通だとしている。社会構造のイノベーションとそれを導く具体的な施策の例として下記をあげる。

経済の課題

巨大な低炭素市場をもたらす「グリーン新市場の創造」と「環境価値をてことした経済全体の高付加価値化」

環境価値を顕在化させ炭素生産性の向上と経済全体の高付加価値化を誘発するカーボンプライシング(例:法人税減税、社会保障改革と一体となった大型炭素税)、イノベーション・ターゲットを定めた規制的手法の活用、「ライフスタイルイノベーション」実現のための情報的手法、環境金融の推進

地方の課題

エネルギー収支の黒字化等を通じた「地方創生」

地域エネルギープロジェクトへの支援、生産性向上等のための低炭素都市計画の推進、自然資本を活用した地域経済の高付加価値化

自然資本をうまく循環し、地域経済をまわす

自然資本をうまく循環し、地域経済をまわす
(※画像クリックで拡大)

国際的な課題

「気候安全保障」の強化:新たな環境ブランドでの「国際的尊敬」獲得、エネルギー安保の強化、世界の低炭素市場の創造

気候安全保障に関する国民の理解の増進、我が国の貢献による海外削減の推進と国際的リーダーシップの発揮

長期戦略の策定と実施

昨年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された、温暖化対策の新たな法的枠組み「パリ協定」においても、各国は2020年までに長期戦略を策定するよう努めることとされている。日本においても、2050年の温室効果ガス削減の絵姿とその実現に向けた道筋を明らかにし、さらには、「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収とのバランスを達成する」ことを念頭においた長期戦略の策定が必要である。その際、前述のとおり、環境・経済・社会の統合的向上を図るための総合的な施策を盛り込むことが求めた。また、これらの要素は、第5次環境基本計画にも盛り込まれるべきだとした。

長期戦略の策定に当たっては、2050年の温室効果ガス削減の絵姿とその実現に向けた道筋を国民にわかりやすく示す上で、一定期間の国の総排出量目標を段階的に定めた炭素バジェットが有効な一つの手法と考えられる。このため、今後、中期目標と長期目標の連続性、すなわち長期目標の途中経過としての中期目標の位置付けの明確化等の課題に取り組んでいく必要等をあげた。

また、国レベルの戦略のみならず、地域においても、2050年80%削減社会に対応した温室効果ガス長期大幅削減と経済・社会的課題の同時解決を目指した戦略の策定が望ましいとしている。その際、各地域が、人口動態・経済構造・都市構造・再生可能エネルギーのポテンシャルなどの地域資源を総合的に把握して戦略を策定できるよう、国が支援することも重要である。

提言取りまとめの背景

2015年7月、日本は温室効果ガスの2030年削減目標(2013年度比26%減)を盛り込んだ「日本の約束草案」を決定した。今後その確実な実現が求められている。

その先には、「第四次環境基本計画」(2012年4月27日閣議決定)において、日本として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととしているほか、昨年のG7サミットでは、世界全体の温室効果ガス削減目標に向けた共通のビジョンとして2050年までに2010年比40~70%の上方の削減とすることが盛り込まれた。こうした目標を達成していくためには、単なる個別対策の積み上げだけではなく、社会システムの変革が不可欠である。

このような観点から、長期における温室効果ガスの大幅削減と、日本が直面する構造的な経済的・社会的課題の同時解決を目指し、日本の新たな「気候変動・経済社会戦略」の考え方を議論するため、環境大臣の私的懇談会として、幅広い分野の有識者から構成される「気候変動長期戦略懇談会」(座長:大西隆日本学術会議会長)を2015年10月に設置した。本懇談会では、これまで5回にわたって議論が行われ、今般、提言をとりまとめた。

【参考】
環境省 - 気候変動長期戦略懇談会からの提言について

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