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パリ協定採択後の課題など議論 ドイツで開催された気候変動の非公式会合で

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パリ協定採択後の課題など議論 ドイツで開催された気候変動の非公式会合で

環境省と外務省は、7月4、5日にドイツ・ベルリンにて開催された、気候変動に関する非公式閣僚級会合「ペータースベルク気候対話VII」の結果概要を取りまとめ報告した。

昨年フランス・パリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択された。この会合では、多くの出席者が、パリ協定採択後の最大の課題は各国が提出した約束草案(削減目標)の着実な実施であるとし、そのための具体的な施策策定の必要性、各国の実施を支援するための能力開発等における国際協力の必要性に言及した。

あわせて、多くの出席者がパリ協定の早期発効の重要性とともに、パリ協定を実施に移す上での、パリ協定に関する特別作業部会(APA)および補助機関会合(SB)における作業の加速化の重要性にも言及した。日本は、G7伊勢志摩サミットでも確認されたとおり、パリ協定の早期の締結・発効が重要であること、国内での取組みとして「地球温暖化対策計画」を策定した旨を発言した。

なお、パリ協定は、気候変動対策を強化するために、世界共通の長期目標として、世界的な気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力をすること、適応能力を向上させること、資金の流れを低排出で気候に強靱な発展に向けた道筋に適合させること等が盛り込まれている。パリ協定は、世界のCO2等排出量の55%以上を占める55カ国以上の批准が発効要件となっている。なお、COP22は2016年11月にモロッコのマラケシュで開催される。

この会合は、ドイツおよびモロッコの主催で開催された。ドイツ(議長国)およびモロッコ(COP22議長国)ならびに、30カ国の主要先進・途上国、NGO、民間企業、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局、国連事務総長オフィス、パリ協定に関する特別作業部会(APA)共同議長等が出席した。日本からは梶原環境省地球環境審議官ほか、外務省、経済産業省から出席した。


その他議論の概要

(1)温室効果ガスの低排出型かつ気候に対して強靱な発展のための長期戦略

各国が進める長期戦略について説明した。また、多くの国が、適応に関する長期の計画・施策にも言及した。中国は、自国が推進する2030年ないしできる限り早期の排出のピークアウトの実現に向けた取組みとして、中国全土への排出権取引の拡大、再生可能エネルギー導入の加速化等について紹介した。

(2)経済移行の加速化、低排出かつ強靱な発展のための資金の流れ

冒頭、7月4日に任期を満了するクリスティアナ・フィゲレスUNFCCC事務局長が発言し、SDGs(持続可能な開発目標)の中で気候変動の対応も包括的に取り組むことで、経済社会全体の低炭素化に向けた移行の重要性を強調した。

続いて、アンゲル・グリアOECD事務総長が発言し、低炭素で気候変動に強靱な資金の流れの重要性を強調した。次に、アンドレアス・グルーバー・アリアンツ社CIOが、機関投資家の立場から発言し、資金のグリーン化のためには、明確な価格シグナル、官民の連携、長期計画と確実性が必要と述べた。グリア事務総長およびグルーバーCIOと出席者のやりとりの中では、炭素税や排出量取引、化石燃料補助金の段階的廃止等を通じた民間セクターに低炭素化に向けたシグナルを送る施策について、様々なやりとりがなされた。また、中国(G20議長国)が、G20グリーン資金スタディーグループの作業に関し、現在行われている気候リスク分析やグリーン・ボンド等の議論について紹介した。

(3)COP22への期待

COP22の成果については、多くの国が、締約国のみならず民間セクター、地方自治体等の幅広いステークホルダーの関与を推進するためのアクションアジェンダの強化の重要性に言及した。また、多くの国が、パリ協定の実施に向けた、透明性、緩和の計上方法等の指針策定の議論を着実に前進させる重要性を強調した。

また、今年秋のICAO(国際民間航空機関)総会における国際航空分野における市場メカニズムに基づく排出削減枠組みの創設、モントリオール議定書の改正によるHFC規制、およびIMO(国際海事機関)における燃料消費実績報告制度に関する議論の進展を、枠組条約外であるがGHGの大幅削減に資するCOP22までの成果とすることについて、幅広い支持があった。

(4)メルケル・ドイツ首相およびメズアール・モロッコ外務大臣の基調演説

メルケル首相は、EUとしての削減目標である2030年までに少なくとも40%削減の目標の実施に取り組むとともに、ドイツ国内でのパリ協定締結の手続きを進めていると述べた。また、メズアール・モロッコ外務大臣(COP22議長)からは、「グローバル気候アクションアジェンダ(GCAA)を強化していくこと、COP22の成功に向けて、パリでの成功を踏まえて包括的、公平、透明な形で議論を進めていく」と述べた。

【参考】
環境省 - 「ペータースベルク気候対話VII」の結果について

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