【韓国】廃棄物の規制緩和 CCUSや熱分解油を活用

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韓国環境省(ME)は9月5日、資源循環基本法施行令の改正によって循環型資源の認定基準を大幅に緩和すると発表した。同時に、廃プラスチックからの熱分解油の再資源化や、CCUS(炭素回収・利用・貯留)技術で回収したCO2の再資源化の仕組みを構築する。

8月26日に韓国大統領が議長を務めた「第1回規制革新戦略会議」の事後措置として改正案が出され、8月31日から40日間の事前公表を経て、今回の改正に至った。MEは2022年度中の改正完了を目指し、立法予告期間中に調査や最終案作成を行うとしている。

廃棄物リサイクルの規制緩和

この改正で循環資源の認定基準が大幅に緩和され、循環資源と認定された物質は、廃棄物関連の規制の対象外となる。MEは2018年から「循環資源認定制度」を導入し、人や環境に無害で価値のある廃棄物を循環資源として認定し、年間排出量の報告以外の義務を免除してきた。しかし、認定されるには9つの基準を満たす必要があり、厳しすぎるため制度が有効に機能していないという指摘があった。

今回の改正では、この基準を、(1)焼却・埋設・海洋投棄をしないこと、(2)申請時に認識した用途に適合すること、の2つに絞った。これにより、価値のある物質が、制限されず様々な用途に使用されるようになる。焼却や埋め立ての際に排出されるCO2量が減り、企業の廃棄物管理の負担が大幅に軽減されることになるという。

CCUS技術の活用

また、CCUS技術で回収された炭素を、骨材、セメント、コンクリートなどの建材、ゴムや繊維、合成樹脂などの製品に利用することを定める。これまで、鉄鋼スラグやコンクリート廃材などの廃棄物と二酸化炭素の混合物である炭酸は、廃棄物処理法で定められた目的以外には再利用できない廃棄物と定義されていた。そのため、環境部は現行法にもかかわらず、蔚山、忠清南道などの特区で、捕集した炭化物を建設資材としてリサイクルすることを、熱分解油関連の議案と合わせ行政委員会に提案した。 

熱分解油の用途拡大

さらに、廃プラスチックの熱分解油を、原油に代えて石油化学製品のナフサやディーゼルなどの原料として使用し、各種プラスチック製品を製造する取り組みを開始した。MEは、これまで熱分解油の用途を燃料に限定していたが、石油化学製品にも用途を広げ、これまで焼却施設に分類されていた熱分解施設を、新たに化学品リサイクル施設に分類した。熱分解油の特性に合わせて、設置や検査の基準も設定された。今回の施行令では、プラスチック廃棄物の50%以上を熱分解油として回収することをリサイクル基準として定めている。

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