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改正 土壌汚染対策法 FAQ

環境ビジネスオンライン編集部

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※月刊「環境ビジネス」2010年1月号 実務特集「一目でわかる!土壌汚染対策法改正」の内容に加筆・修正したものを掲載しています。 掲載内容は、2009年11月時点のものです。

Q1.改正土壌汚染対策法はいつから施行されますか?

施行期日は、2010年4月1日です(2009年10月9日の閣議決定)。ただし、汚染土壌処理業の許可の申請に関する規定は、2009年10月23日から施行されています。今回の改正法に関する関連法令の施行スケジュールは下記のとおりです。

日程 内容
2008年12月 「今後の土壌汚染対策の在り方について」答申
2009年3月 土壌汚染対策法改正法案成立
2009年7月 第12回土壌制度小委員会で素案了承
2009年10月 改正法施行期日を定める政令、土対法政令改正、汚染土壌処理業の許可申請手続に関する省令を交付
処理業許可の申請受付開始
2009年11月 自治体、関係業界等関係者に対する説明会等をスタート
2010年2月 政省令(残りの部分)公布
2010年4月1日 改正法施行

Q2.なぜ、今回、土壌汚染対策法の改正が必要だったのですか?

下記の3点において、とりわけ問題があるとされた答申が2008年12月に出され、これに基づいて法改正が進められました。

●法に基づかない、自主的な調査での土壌汚染発見の増加

現行法では、「有害物質使用特定施設に係る土地」を汚染の可能性が高い土地とみなし、施設の廃止時に土壌調査を行うことを義務づけています。しかし実際には、それ以外の、法に基づかない自主的な調査の際に、土壌汚染が判明することが多くなっています。

●掘削除去の偏重

土壌汚染対策として、摂取経路の遮断(盛土、舗装、封じ込め等)や掘削除去、原位置浄化が認められています。中でも掘削除去が選択されるケースが大多数ですが、この手法では、汚染された土壌の所在を不明にするおそれがあり、また、搬出に伴って汚染を拡散させる可能性もあります。 汚染の程度や健康被害のおそれの有無に応じて合理的で適切な対策が実施されるよう、指定区域については、環境リスクに応じた合理的な分類をすべき、との見解が出されています。

●汚染土壌の不適正な処理による汚染の拡散

搬出された汚染土壌の処理に関する問題が顕在化しています。例えば、残土処分場や埋立地等における不適正事例や、土地造成時、盛土材料に汚染土壌が混入していた事例などがその一例です。
掘削除去が増加している今、適正な処理の基準や是正措置を規定すべきであり、また、適正な処理の対象となる汚染土壌を的確に把握するために、区域の指定制度の拡充が必要であると考えられます。

(参考:「今後の土壌汚染対策の在り方について」答申)。


Q3.改正土壌汚染対策法の主な改正点は?

土壌汚染対策の基本的な考え方は継続し、これまでの条件に加えて下記の点で制度の拡充を図ることで、より合理的・適正な汚染のリスク管理が目指されています。

●土壌汚染の状況把握のための制度拡充

・一定規模(3,000m2)以上で、土壌汚染のおそれがある土地を形質変更する際、都道府県知事が土壌汚染の調査命令を下すことができる
・自主調査において土壌汚染が判明した場合、土地の所有者等の申請に基づいて、「規制対象区域」として指定し、適切に管理する
・都道府県知事による、土壌汚染に関する情報収集や情報提供などについての努力義務

●規制対象区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化

・健康被害の恐れがない場合:
土地の形質変更時に届出が必要な区域(形質変更時要届出区域)
・健康被害の恐れがある場合:
盛土、封じ込め等の対策が必要な区域(要措置区域)

※措置実施区域に関しては、都道府県知事が必要な対策を指示する。対策後は、解除、または形質変更時要届出区域に指定

●搬出土壌の適正処理の確保

  • 規制対象区域内の土壌の搬出の規制
    (事前届出、計画の変更命令、運搬基準・処理基準に違反した場合の措置命令)
  • 搬出土壌に関する管理票の交付及び保存の義務
  • 搬出土壌の処理業についての許可制度の新設

●その他

指定調査機関の信頼性の向上(指定の更新、技術管理者の設置等)など


Q4.工場や事業所で行う土壌汚染状況調査のどこが変わりますか?

調査対象となる特定有害物質について、
「特定施設の設置場所で、廃止時に使用していた物質」から、
使用されていた施設や場所に関係なく、操業開始時から調査時点に至るまで、工場・事業場で使用履歴のある全ての有害物質
へと変わります。
操業開始時からの有害物質の使用履歴の調査が必要となっています。


Q5.自主調査により汚染が確認されているサイトについて、
対応は必要ですか?

法的な届出義務は特にありません。
土地所有者等の判断で、自主的に調査結果を申請することはできます。形質変更時要届出区域、または要措置区域として指定された場合、台帳に記載・公表されます。


Q6.土壌汚染対策法の改正後、法3条調査、自主調査は
どのように対応が変わるのでしょうか?

現行法での
・法が定める有害物質使用特定施設を廃止するとき
・土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき
に加えて、
・3,000m2以上の土地形質変更の届出時に、都道府県知事がその土地に汚染のおそれがあると見なすとき
にも調査を実施するようになる。形質変更時要届出区域と要措置区域のそれぞれの指定がなされた場合で対応が変わります。加えて、自治体独自の条例もあります。
横浜市を例とした下記のフロー図を参照ください。

横浜市の事例

Q7.改正土壌汚染対策法では、土地形質変更の届出の例外はありますか?

下記に該当する場合は、土地形質変更の際の届出は必要ありません。
■軽易な行為その他の行為にあたるもの
(1)次のいずれにも該当しない行為
・土壌の敷地外への搬出を伴うこと
・土地の形質の変更に伴い敷地外への土壌の流出が生ずること
・土地の形質の変更を行う部分の深さが50cm以上であること
(2)次に掲げる行為で、土壌の敷地外への搬出を伴わないもの
・農業を営むために通常行われる行為
・林業のための作業路網の整備
(3)鉱山や附属施設の敷地、または鉱業権の消滅後5年以内の鉱山の敷地で行われる形質の変更
■非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(参考:改正土壌汚染対策法の施行に係る政省令事項素案)


Q8.改正土壌汚染対策法における、要措置区域指定の要件は?

要措置区域として指定されるのは、「人の健康被害のおそれがある場合」とされています。具体的には、
・土壌溶出量基準を超過した場合については、
「周辺において地下水を飲用利用している場合」
・土壌含有量基準を超過した場合については、
「人が立ち入ることができる状態にある土地」
であることが指定の要件となります。

都道府県や政令市が行う飲用井戸の調査(既存資料での飲用井戸の有無の確認や、回覧板等による飲用井戸の存在の申告依頼)の結果、飲用井戸の存在が確認されず、かつ、上水道の飲用が可能である区域については、要件に該当しないものとされます。


Q9.自然由来の重金属類にも対応しなければならないのですか?

土地の形質変更の際に実施する土壌汚染調査において、自然由来の重金属類の含有量や溶出量が基準値以上だった場合、土壌を採掘して敷地外に搬出して別の場所に運び入れる際に、移転先の環境保全のために採掘土壌の適切な管理が必要となります。

様々な自然的要因

Q10.除去方法について、掘削ではなく、
原位置浄化を優先する定めはありますか?

原位置浄化を優先させるという定めはありません。掘削は、政省令の素案でも、汚染土の区域外への運搬について規定が変わる以外は認められた処理です。


Q11.土壌汚染対策基金などの支援策は継続されるのでしょうか?

「今後の土壌汚染対策の在り方について」の答申で、中小企業の支援について、「土壌汚染対策を講じたくても、その費用を用意することが困難な、資力が乏しい中小事業者に配慮するため、中小企業の支援事業を参考とし、中小企業の土壌汚染対策(調査を含む。)に関する支援策を検討すべきである」とされています。
また、土壌汚染対策基金については、中央環境審議会 土壌農薬部会土壌制度小委員会(第11回)で、「汚染の除去等の措置を講ずる者に対する助成金の交付について」が示され、今後も継続の見通しです。税制特例制度制度については、平成22年度環境省税制改正要望の中で延長とされています。


Q12.原位置浄化のメリットはなんでしょうか?

原位置浄化のメリットを考えると、次の点が挙げられます。
1.リスク低減:汚染土の搬出拡散、不法投棄のリスクを避ける
2.コストメリット:掘削除去に比べ安価である
3.会計上のメリット:操業中に浄化できれば資産除去債務の計上が不要になる
4.CO2削減:掘削除去に比較しCO2削減が図れる

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