環境 新製品:導電性床材「エースミック」/矢崎総業
導電性床材で初のエコマークを取得
ポリ塩化ビニルのロス材を配合した、環境配慮型床材が登場
矢崎総業は、導電性床材のエースミックで業界初のエコマークを取得した。
導電性床材は、ICやLSIといった電子部品の劣化や破壊の原因となる静電気を除去する床材だ。半導体の実装ラインやクリーンルームなどの床に使用され、人体の帯電を防止する。また、クリーンルームなどでは防塵対策として使用されることもある。

エースミック
矢崎総業では、高電圧電力ケーブルの半導電層(局部的な電界の集中を緩和する層)に使用する導電性樹脂を製造しているほか、そこで培った導電性カーボンの樹脂への混練やコンパウンディングなどの技術を活用して導電性床材を開発し、販売してきた。これに伴い、同社では、電線やケーブルの製造過程で出るポリ塩化ビニルのロス材の有効活用が検討されており、「エースミック」担当者はこのロス材に着目して環境配慮型床材への転換を目指した。
しかし、ロス材はバージン材と比べて混練性に劣るため、導電性の調整が難しく、製品表面の平滑性も損なわれる。しかも、エコマーク認証を取得するには再生材の使用率を15%以上にしなければならなかった。問題は、最適な配合比率を見つけることだ。だが、数多くの試作や評価を行ってもなかなか成功には至らなかった。
問題解決の決め手となったのは「現場力」、すなわち現場の機械を熟知するオペレーターの、長年の経験に基づいた意見だった。「エースミック」開発担当者は、「現場力と理論的な考察により、ようやく最適な条件を見出せた」と、当時を振り返る。このようにして業界初のエコマーク認定を取得した導電性床材「エースミック」が完成した。
さらに「エースミック」は、CO2削減効果も大きい。ポリ塩化ビニルのロス材を使用することで、バージン材を使用する場合に比べ、CO2排出削減量が約20~40%アップした(※)。
エコマーク取得、かつCO2削減量を向上させた製品として、「エースミック」には、すでに環境意識の高いユーザーから多数の問い合わせが寄せられているという。矢崎総業では、従来のユーザーはもちろん、同製品が「グリーン調達」の条件を満たすことから、公共機関などにも売り込んでいく方針だ。
※製品のスペックにより幅があるため。