小型風力発電機「TOMOの風」YGシリーズ/ビルメン鹿児島
風量に左右されにくく、24時間体制で安定的に電力を供給
市街地など様々な場所での活躍に期待
ビルメン鹿児島は、風量に左右されにくく、安定して電力供給できる小型風力発電機「TOMOの風」YGシリーズを発売した。
環境問題やエネルギー問題が深刻化する中で、今回の福島第一原発事故が起こり、再生可能エネルギーへの注目度はよりいっそう高まっている。だが、自然エネルギーを利用する場合に課題となるのが、いかに天候などの自然条件に影響されずに安定して電力を供給できるか。特に小型風力発電の場合は、風のあるなしや強弱に影響されやすいのが課題となっていた。
ビルメン鹿児島が18年の歳月をかけて完成させた「TOMOの風」の特徴は大きく2つある。
一つ目は、円盤の回転として力を保存することができる「フライホイール」と呼ばれる部品を搭載している点。「TOMOの風」の風車にはマグネットの反発を応用した可変ピッチが搭載してあり、風の力を発電機の回転に変えるだけでなく、フライホイールの回転エネルギーに変えて蓄えることができる。そのため、もし風が止まっても、一定時間はフライホイールが慣性で回り続けて発電するので、発電電圧が急落するのを防ぐことができる。
二つ目は風力発電の要である風車のブレードが、風の強さに合わせて角度を変えること。風が弱ければ、ブレードはバネによって風向きに平行よりに維持され、風車が回転する。一方、風速が増大すると、風車のブレードに接続された重りの遠心力によって、バネに逆らう力が働き、ブレードは風向きに直角寄りに角度を変えて、高速で回転する。さらに強風時には、風圧によってブレードは直角寄りから平行寄りに押し戻されてブレーキがかかり、強風でブレードが破損するのを防ぐことができる。
これらの技術により、「TOMOの風」は24時間体制での安定した電力供給を実現した。その能力はというと、同等の出力規格の太陽光発電と比べて、発電効率は270%、発電価格は67%(※)、少ないコストでより多く発電できる。
特筆すべきは、「TOMOの風」のデータが、実際の自然環境の中で得たフィールドデータを元にしていることだろう。風速に対する出力グラフの数値も、自然環境の中で得たリアルなデータであり、しかも出力ラインは平均値を採用している。メーカーによっては最良値(最高出力)を提示するケースもあり、実際に設置したらデータどおりの電力供給ができないといったトラブルが起こることもある。だが、リアルデータの平均値を採用している「TOMOの風」の場合、その心配はない。小型でありながら高出力の「TOMOの風」は、市街地をはじめさまざまな場所での活躍が期待できそうだ。
すでに同社には香港・フランス・オランダなどから引き合いがきているが、今後は巨大市場アメリカの提携先を模索する。
※NEDOの年間平均で算出し、風況マップ・日照時間でシミュレーション