新ビジネス成功のカギとなるか!?じわり広がるESG地域金融とは(2ページ目)

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地域を元気に! 全国に広がるESG地域金融

環境省総合環境政策統括官中井 徳太郎氏

環境省 総合環境政策統括官
中井 徳太郎氏

金融庁によると、地域金融機関は、人口減少が現実のものとなり、経営環境が構造的に厳しさを増す中、生き残りに向け金融仲介機能などの強化が課題だとしている。そのため、地域企業に対しては、資金面での支援に加え、コンサルティング支援や本業の中で蓄積した幅広いネットワークを活用したマッチング支援等が求められている。

現在、国内を見渡すと、滋賀銀行だけでなく、北洋銀行では衛星・IT技術を活用した食料危機に対応する課題解決型サービスの提供に寄与する事例、鹿児島銀行ではオリーブ産業創生という新産業の育成事例など、東北、九州や他のエリアの地域金融機関でも地域の持続可能性の実現を目指すべく、ESG地域金融の取り組みを強化した事例が増えている。環境省ではこれらの取り組みをまとめた先行事例集として「事例から学ぶESG地域金融」(2019年3月取りまとめ)を公表した。今後はこういった動きがさらに加速していくと予測される。

ESG地域金融で生まれる新ビジネスを、環境省も推進

環境省も、全国的な広がりを見せるESG地域金融というこのムーブメントが、今後の日本にはかかせないとして、全国キャラバン『「事例から学ぶ ESG地域金融のあり方」セミナー』をはじめ、ESG要素を考慮した事業性評価のプロセス構築支援や、地域におけるESG融資に対する利子補給など、ESG地域金融への取り組みを始めたい地域金融機関を後押しするための様々な取り組みを行っている。

同省は、ESG地域金融の拡大に向けて、地域の資金調達の主となる地域金融機関と、地域企業がパートナーシップを組み、ともに中長期的な価値向上を目指してビジネスを行っていく今の流れを推進したいとしている。環境省 総合環境政策統括官 中井 徳太郎氏は、ESG地域金融への期待を次のように強調する。

「地域金融機関が全国から集まりネットワーキングするイベントが10月に東京で開催され、環境省も今回、初めて出展しました。そこでは、地域金融機関の皆様が、それぞれのエリアを超え、企業同士がサプライチェーンを結ぶ新たなマッチングが生まれていました。各々の地域の資源を活かす理想的なパートナーシップがあちこちで実を結んでおり、地域金融機関のネットワーク力には改めて驚かされました。

地域で継続する事業にしていくために、プラットフォームの構築を支援し、足りないノウハウを専門家が提供したり、資金調達をサポートする体制をつくるなど、私たちも皆様の活動を全力で応援したいと考えております。

ESG地域金融が地域に根差し、「環境と経済の好循環」を生み出すことで、地域のいっそうの活性化が期待できると思います。環境省としても、地域がもっと元気になるよう、今後も様々な地域の魅力を発信してまいります」

環境省では、ESG地域金融への理解を深めるための解説動画を公開している。「今さら聞きづらい」と感じるかもしれない世界情勢や日本の状況といった基礎知識から、滋賀銀行などの全国各地の身近な事例まで、初心者にとってもESG地域金融を「自分ごと」に感じられるよう工夫された構成となっている。地域金融機関や地域企業、ひいては地域全体にとって重要なキーワードとなる「ESG地域金融」に対する理解を、この機会に深めてみてはどうだろうか。

【わかりやすい! ESG地域金融の動画解説はこちらをご覧下さい】
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環境省
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