50ページ分まるごと試し読み:SDGsブランディングの教科書

新たな企業経営のフェーズ「経営5.0」へ移行せよ/まえがき(連載第1回)

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日本ビジネス出版(東京都港区)が2021年11月に発売した「SDGsブランディングの教科書 本気で社会課題解決と利益を両立させる実践法」(著者:三科 公孝氏)。「もっと詳しく中身を知りたい!」との声にお応えして、50ページ分まるごと試し読みできるようにしました。3回の連載でお届けします。

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第1回:SDGsブランディングの教科書―本気で社会課題解決と利益を両立させる実践法「はじめに」より

あなたは「SDGs」という言葉を聞いたことがありますか?

これは朝日新聞が独自に行った「SDGs認知度調査」の質問項目のひとつです。

東京都と神奈川県の一般個人を対象にした調査で、2017年7月に第一回がスタートしました。それから2020年12月に行われた第七回(全国都道府県が対象)が最新の調査になっています(2021年5月現在)。

結果を見てみると、第一回は「聞いたことがある」が12.2%、「聞いたことがない」が87.8%という結果でしたが、推移を見てみると、回を重ねるごとに、わずかではありますが確実に「聞いたことがある」が増えていっています。最新の第七回(全国)のデータでは「聞いたことがある」が45.6%と、半分に迫る結果となりました(出典:朝日新聞社「2030 SDGsで変える」)。

最近で印象深いところでは、レジ袋が有料になるなど、環境関連のニュースが目立つようになりました。その中で「SDGs」がセットで語られることも多くあるので、耳にしたことがあるという人も増えている、ということなのでしょう。

しかしいくら認知度が上がっても、まだ「自分には程遠い話だ」と思っている人も少なくはないようです。地球環境と聞けば、途端にスケールが大きくなってしまうため、イメージがつきにくくなり自分ごととして捉えるのも難しくなります。

しかし実はそうではありません。

多くの企業、しかも日本を支える中小企業にとって、SDGsこそがビジネスを加速させる絶好のチャンスなのです。それを知っていただきたく、本書執筆を決意しました。

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私自身のことについて、簡単に紹介させてください。私は長年、経営コンサルタントとして数多くの中小企業の経営支援に携わってきました。

経営コンサルタントと一言でいっても、さまざまな人種がいて、それと同じ数以上のノウハウがあります。私自身の理念やノウハウは本文でも触れていきますが、ここではまず、私がコンサルティングに入るときの原則をお伝えします。それは「コンサルタントは黒子に徹し、クライアントがスターになること」です。あくまでも主役はクライアントであり、私は主役の活躍の補助、支援をしているに過ぎません。そのため、本書でも私がコンサルティングとして携わることを「経営支援」と表現しています。

そのように、数多くの経営支援を通して、気づいたことがあります。それは「あらゆる企業は、自社独自のブランディングを行っていかなければならない」ということです。このこと自体はこれまでも散々言われてきたことなので、別段の目新しさはありません。しかし大切なのはこれからです。

そもそもブランディングとはいったい何でしょうか。この問いに対して、言葉が持つ意味を答えられる人はいるかもしれません。しかし、具体的にどのようにやるのか、どのような結果が待ち受けているのか、そもそもブランドとは何を指すのか、その正体とは……? こうした問いに答えられる人は、案外少ないのではないでしょうか。

ブランディングとは「世界観」とも言い換えられますが、いわば企業やサービスのイメージです。では企業や団体のイメージはどのように形成されるのでしょうか。

結論を言うと、買い手のニーズに貢献するポイントのことであり、同時にその企業の姿勢のことを言います。これからの時代は、ここが厳しく見られるようになっていきます。

おしゃれな商品やセンセーショナルなサービスを作れば売れるという時代ではありません。運よく売れたとしても、それは打ち上げ花火のように一時のもの。長続きさせるには多大な体力が必要になります。

また、ブランディングとは対外発信を強めることでもありません。

「あらゆる企業は、自社独自のブランディングを行っていかなければならない」という言葉は、「企業が生き残っていくために自社をブランド化する必要があり、そのためには、経営の在り方を新たなフェーズに切り替えていかなければならない」ということを意味します。

その新たなフェーズとして、私は「経営5.0」を提唱しています。それについて説明をしていきましょう。

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