中小企業必見 2025年税制改正で変わる税制の概要と対策
先端設備等導入計画税制
(1)大綱原文
税制改正大綱P.41
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)中小企業等経営強化法に規定する先端設備等導入計画に基づき、中小事業者等が取得する生産性向上や賃上げに資する一定の機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 対象資産を雇用者給与等支給額の引上げの方針を位置づけた同計画に基づき取得する一定の機械・装置等に限定する。
② 当該機械・装置等に係る課税標準を、次のとおり(現行:最初の3年間価格の2分の1(雇用者給与等支給額を1.5%以上引き上げる方針を同計画に位置づけた場合は、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に取得されるものは最初の5年間価格の3分の1、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に取得されるものは最初の4年間価格の3分の1))とする。
イ 雇用者給与等支給額を1.5%以上引き上げる方針を同計画に位置づけた場合 最初の3年間価格の2分の1
ロ 雇用者給与等支給額を3%以上引き上げる方針を同計画に位置づけた場合 最初の5年間価格の4分の1
(2)解説
要旨、所定の変更を加えたうえで、その適用期限を2年延長するとのことである。ただし、この所定の変更の①(対象資産を雇用者給与等支給額の引上げの方針を位置づけた同計画に基づき取得する一定の機械・装置等に限定する)は、非常に重い要件であり、今まで、賃上げがなくても、優遇が受けられる制度であったが、今後は、賃上げが必須の要件となるようだ。
中小企業投資促進税制(30%特別償却等)
(1)大綱原文
税制改正大綱P.53
(2)中小企業投資促進税制について、関係法令の改正を前提にみなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、その判定対象である法人が農地法に規定する農地所有適格法人である場合で、かつ、一定の承認会社がその農地所有適格法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその株式又は出資を除外した上、その適用期限を2年延長する(適用期限の延長は、所得税についても同様とする)。
(注)上記の「一定の承認会社」とは、農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法に規定する承認会社のうち地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会、農林中央金庫又は株式会社日本政策金融公庫がその総株主の議決権の過半数を有しているものをいう。
(2)解説
要旨、所定の変更を加えたうえで、その適用期限を2年延長するとのことである。なお、適用期限の延長は、所得税についても同様とされる。
・ 所定の変更
関係法令の改正を前提にみなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、その判定対象である法人が農地法に規定する農地所有適格法人である場合で、かつ、一定の承認会社がその農地所有適格法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその株式または出資を除外する。
中小企業経営強化税制(即時償却等)
(1)大綱原文
税制改正大綱P.54
(3)中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控
除制度(中小企業経営強化税制)について、次の措置を講じた上、その適用期
限を2年延長する(次の①の措置及び④の措置を除き、所得税についても同様
とする)。
(注)①から④は、大綱で3ページに渡る内容であるため、記載を省略する(筆者)。
(2)解説
要旨、所定の変更(①~④)を加えたうえで、その適用期限を2年延長するとのことである。所定の変更の概要は、次のとおりである。
① 特定経営力向上設備等の追加
特定経営力向上設備等に、その投資計画における年平均の投資利益率が7%以上となることが見込まれるものであること及び経営規模の拡大を行うものとして経済産業大臣が定める要件に適合することにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備(機械装置、工具、器具備品、建物及びその附属設備並びにソフトウエアで、一定の規模以上のもの)を追加する。
その追加される特定経営力向上設備等については、即時償却又は7%税額控除(一定の中小企業者等の場合には10%税額控除)の選択適用ができる。ただし、建物及びその附属設備については、15%又は25%の特別償却と、1%又は2%の税額控除の選択適用ができる。
② 特定経営力向上設備等の見直し
イ 一定の時期に発売された設備で、旧モデル比で経営力の向上の指標が年平均1%以上向上するものであるものの『経営力の向上の指標について、単位時間当たり生産量、歩留まり率又は投入コスト削減率のいずれかにより評価することとする』(A類型)。
ロ その投資計画における年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれるものであることにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備の投資利益率を7%に引き上げる(B類型)。
ハ 次の設備を除外する。
(イ)遠隔操作、可視化又は自動制御化に関する投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備(デジタル化設備)
(ロ)暗号資産マイニング業の用に供する設備
③ 食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の認定を受けた持続的供給事業活動計画(仮称)に記載された経営力向上設備等の取得等をする場合のその経営力向上設備等について、改正後の本制度の対象とする。
④ みなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、その判定対象である法人が農地法に規定する農地所有適格法人である場合で、かつ、一定の承認会社がその農地所有適格法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその株式又は出資を除外する。
総括
今回は、令和7年度の税制改正のうち、太陽光発電設備等にも関連がある部分を解説した。なお、実際の法改正の決議は、3月下旬などに行われ、大綱は予告に過ぎないので、改正の有無、詳細は、その決議後にも確認をしたい。