東証、マーケットメイカー制度を試験運用 担当者が語る導入の狙いとは?

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東京証券取引所は、2022年度の実証を経て2023年10月11日に、カーボン・クレジット市場を正式に開設した。2050年のカーボンニュートラルへ向けて、排出量取引制度の2026年度からの本格稼働が予定されている。取引所としてカーボンプライシングへ貢献するべく開設したカーボン・クレジット市場。その機能や現在の活用状況とは?

カーボン・クレジット市場の必要性

2030年の温室効果ガス46%削減(2013年度比)、2050年のカーボンニュートラルへ向けて、政府は2022年2月に「GXリーグ基本構想」を策定した。参画企業が自主的に目標を設定し温室効果ガスを削減していくなかで、目標を超過して達成した企業には経済価値を与える。超過分を排出枠、クレジットとして認証し流通させることで、企業が脱炭素と経営を両立できるような社会を目指す。その流通の場として、カーボン・クレジット市場の必要性が指摘された。

東京証券取引所のカーボン・クレジット市場整備室の川久保 佐記氏は、「日本にカーボン・クレジットの取引所市場がなかった当時。東証としては、取引所としてカーボンプライシングへ貢献するという観点から、まず2022年9月から4カ月の期間限定で実証を行いました」と話す。

東証では、カーボン・クレジットを流通させるための制度、決済の方法、売買への参加要件を含め4カ月のトライアルを経て、きちんと炭素価格が出ることを確認した上で2023年10月11日、常設市場を正式に開設した。

「カーボン・クレジット市場については、2050年のカーボンニュートラルへ向けた日本全体の動きにおける『排出量取引制度』という大きな枠組みのなかで、それを流通させる場として発展させていくというのが、全体の位置づけです」(川久保氏)

GXリーグ基本構想における排出量取引制度については、今後10年で第1フェーズから第3フェーズまで、段階的なロードマップが描かれている。

2023年から25年までの第1フェーズは試行段階。日本の排出量の4割以上を占める賛同企業による自主的な削減目標の設定と取り組みが主体となる。26年からの第2フェーズは排出量取引市場の本格稼働となっており、規律強化(指導監督・遵守義務等)のメッセージが出されている。第3フェーズはさらなる発展として、段階的な有償オークションとして、そもそも排出枠を国から買うといった、現在の第1フェーズの試行段階とは考え方の違うスキームが導入されることが設定されている。

「自主的な取り組みから、ゆくゆくは排出枠自体を買う制度へ変わっていく。その枠や目標達成に使うカーボン・クレジットは流通させる場が必要で、そのためには価格公示が必要であるというので開設したのが、カーボン・クレジット市場です」(川久保氏)

カーボン・クレジット市場の制度概要(売買・決済)
カーボン・クレジット市場の制度概要(売買・決済)
(出所:東京証券取引所)

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