欧州「EV義務化」で日本はどうなる?

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欧州では事実上、2035年から乗用車と小型商用車の新車100%でEV(またはFCV)が義務化される。

欧州連合(EU)と欧州議会は2022年10月26日に、欧州委員会は2021年7月に、提案していた環境車に対する政策案について合意した。

2021年7月の時点で、日本では多くのメディアが「欧州ではEV義務化」と報じたが、今回の合意によって、欧州でのEV義務化は確定したといってよいだろう。

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2026年に新規販売するモデルはすべてEVとなるアウディ。岩手県内の報道陣向けイベントにて(筆者撮影)

視点を日本市場に移すと、すでに欧州メーカー各社は日本市場向けにもEVモデルを続々導入しており、こうした流れが今後さらに加速するのは確実といえる。

欧州勢を迎え撃つ日本勢だが、各社はすでにEV戦略の概要を公表しているので、それに沿った形で粛々とモデルが増えていく予定だ。

ただし、日本政府としては現状で環境車の将来の普及について達成目標設定はあるが、達成年や販売比率などを明記した義務化の方向性は打ち出していない。「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の「自動車・蓄電池産業」分野について、「2035年までに乗用車の新車100%を電動化」という表現にとどめている。

この電動化という解釈については、日本自動車工業会としては「カーボンニュートラルに向けてさまざまなパワートレインの可能性を探る」という姿勢を示している。そのため、現時点では近い将来に日本では一気にEVシフトが起こるとは断定できない。

一方で、欧州EVシフトは政治的な背景が強いため、欧州EVシフトの影響はすでにアメリカに飛び火している。また自動車産業界として欧州とのつながりが強い中国でも、中国独自戦略であるNEV(新エネルギー車)政策になんらかの変化が生じる可能性も否定できないだろう。

欧州、アメリカ、そして中国でのEVシフトが進むなか、海外諸国の政策に日本の政策が包囲されてしまい、結果的に日本も達成年を決めたEV義務化に一気に動くことになるのだろうか?

一部メディアでは、トヨタがEVに関する世界情勢を鑑みて、2021年12月に公開したEV関連事業計画の大幅な見直しに動いているとも報じている。これについてトヨタ側からはコメントやニュースリリースは出ていない。

いずれにしても、欧州EVシフトの大波は日本自動車産業界に大きな影響を与えることは間違いない。

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