雪上や氷上で本領を発揮する電動車たち
冬のシーズンになると毎年、自動車メーカー各社やタイヤメーカー各社は降雪地域での公道試乗やテストコースでの新商品説明会を行う。
コロナ禍で一時的にその規模は縮小していたが、2022~2023年にかけては複数のメーカーが雪上や氷上での試乗会を開催している。そうしたなか、日産の恒例行事となっている長野県の蓼科高原にある女神湖(めがみこ)での氷上試乗会に参加した。

女神湖へは都内から片道約250kmの行程だが、今回はマツダの「CX-60」を同社広報部から借りてテストドライブをしながら長野を目指した。同車両は、直列6気筒3.3リッターディーゼルエンジンの48Vマイルドハイブリッド車である。
長野県内の山間部に入り雪上を走ると、速度が低くエンジン回転数が低い状態でもモーターのアシフトと、マツダ・インテリジェント・ドライブ・セレクト(Mi−Drive)による適切な四輪駆動制御のおかげで、まるで街中の舗装路を走っているような感覚で走破することができた。
電動車は雪道やアイスバーンでも心強い相棒に
翌朝、女神湖には最新の日産車がズラリと勢揃いしていた。「フェアレディZ」と「GT−R」以外は、EV(電気自動車)またはシリーズハイブリッド車のe−POWERを搭載していた。

氷上という特殊な路面状況は、一般路面でのアイスバーンを想定している。そこで重要となってくるのは、タイヤの性能と、そのタイヤにかかる駆動力をクルマ側がどのようにコントロールするかである。タイヤは、全車が高い氷上性能で販売が好調のブリヂストン「VRX3」を装着した。
各種の日産電動車を乗り比べたが、その中でもEV「アリア」の四輪駆動車(e−4ORCE)が、発進時での安定かつ速い加速、またコーナーリングの安定感で「頭ひとつ抜け出して」いる感じだった。また「エクストレイル」についても、「アリア」と比べるとクルマ全体の重心が高く、コーナーリング中のロール量が多めだが、そうしたクルマの挙動をe−4ORCEが適時コントロールしていることを実感できた。
走行条件に合わせて細かな制御を行える電動車は、雪道やアイスバーンでも心強い相棒になることが、今回の一連の試乗でしっかりと分かった。
