「Honda 0(ゼロ)Tech Meeting」で公開された次世代技術を視察

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ホンダは10月初旬、栃木県内の研究開発拠点で報道陣向けに「Honda 0 Tech Meeting」を実施した。
以前は、Honda Meetingと称して定期的に技術説明会を開催してきたが、コロナ禍を経て久しぶりにホンダの最新技術をまとめて見る機会を得た。

 
ホンダ 「0 シリーズ」の実走型プロトタイプ。筆者撮影。

今回の発表の柱は、2026年から市場導入する「0 ゼロ)シリーズ」である。
0 シリーズは、「Thin (薄く)」、「Light(軽く)」、「Wises(賢く)」をモットーとして、ホンダとしてまさにゼロスタートで企画した次世代EV(電気自動車)構想だ。

コンセプトモデルについては、1月に米ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大級のIT・家電の国際見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」で「サルーン」と「スペースハブ」の2モデルを世界初公開している。
そのうち、車高が低いスポーティモデルのサルーンを2026年から量産するとしている。
さらに、2030年までにサルーンを含む小型・中型SUVなど合計7モデルをグローバルで投入する計画だ。

今回、そうしたゼロシリーズのプラットフォームを持つ、実走可能なプロトタイプとしてセダンとSUVが用意されており、筆者はこのうちSUVに試乗した。

搭載する電池容量は未公開ながら、同乗したエンジニアによれば車重は2トン級。
それでも、クルマ全体の動きは単純に低重心とか、加速が良いといったレベルではなく、
クルマの大きさや重さをあまり気にすることなく、路面の起伏があるS字コーナーなどで
実に気持ち良く操ることができた。
前後に出力180kWのモーターを持つ四輪駆動車で、二足歩行ロボット「アシモ」で培ったジャイロセンサー技術を応用することで、旋回時の車両姿勢を的確に制御する仕組みだ。

また、バッテリーパックに使用する鋳造品を製造する6000トン級の製造装置も見た。
今後は、車体後部の鋳造品の一体成形も量産化する計画だ。

そのほか、クルマの外方向に対して作動する車載カメラによって乗車する人を自動認識する技術や、AI(人工知能)を活用して、車内の様子から乗車員の意図を理解することでクルマのシステムが乗員に対してこれから先の行動について提案するシステムのデモンストレーションも披露された。

 
プレゼンテーションする、ホンダの三部敏宏社長。筆者撮影。

また、ホンダの三部敏宏社長は、クルマの電動化や知能化が進むことで、従来のようなクルマの材料調達・部品加工・車両製造・販売という商流が今後、変化する可能性についても示唆した。
例えば、バッテリーのリユースやリサイクル事業を含めた新しいエコシステムにおけるエネルギーマネージメント事業は、大手商社との合弁事業や、アメリカでは自動車メーカー各社との共同事業などを融合するかたちで、ゼロシリーズ市場導入の2026年以降にサービスを本格的に稼働させるとした。

ホンダ 0 シリーズは今後、多様な事業の広がりを見せる可能性が高く、その動向を細かく追っていきたい。

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