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東京大学と名古屋大学、海洋微生物の光合成と異なる光エネルギー利用の仕組みの測定に成功

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東京大学と名古屋大学の研究チームは、近年発見された、海洋細菌が有する新しい光エネルギー利用機構であるプロテオロドプシンの機能について、初めて直接測定することに成功したと発表した。これは光エネルギーを使って炭酸ガスを固定するクロロフィル型の光合成とはまったく異なる光エネルギー利用のしくみで、本研究では、海洋細菌が実際にこの新しいしくみを用いていること、またその量が海洋生態系のエネルギー循環に対して大きな割合を占めていることを明らかにした。

プロテオロドプシン(PR)は、2000年に海洋細菌の間に広く分布していることが発見された新たな光受容タンパク質。それまでは、植物プランクトンや海洋細菌の活動に必要なエネルギーは、そのほとんどが海洋表層での光合成を通じて得られる光エネルギーに由来すると考えられていた。

PRは光を受けると細胞内から水素イオンを放出し、細胞の内外に電気化学的な水素イオンの電位差を生じされる形でエネルギーに変換し、そのエネルギーを用いて細胞内で自由に使えるエネルギー物質であるATP(生物共通のエネルギー物質)を合成すると考えられている。また、その後の研究から海洋表層に生息する細菌の数%から数十%がPR遺伝子を持つことが見積もられており、地球規模でのエネルギー循環を考えるうえでPRが受け取る太陽光エネルギー量を推定することは不可欠な課題となっていた。

しかし、PRの機能についてはこれまで遺伝子組み換え大腸菌(異種発現)でしか解析が成功しておらず、また、PR遺伝子を持つ海洋細菌が細胞内にどのくらいのPRタンパク質を発現させるのか? 光が当たると本当に水素イオンを排出するのか? などの基本的な事柄もわかっていなかった。その大きな原因は、一般的に海洋細菌の99%は培養できないこと、また、PRを持つ海洋細菌も“極めて難培養性”であると考えられていたことにあった。

本研究では、独自の遺伝子検出プローブを設計することにより“極めて難培養性”というこれまでの常識を覆し、多量の海洋細菌培養株からプロテオロドプシン遺伝子を検出することに成功した。これらのPR遺伝子を持つ分離株を解析することで、PRの機能について、詳細に直接測定を行った。この結果、PRが光を受けると水素イオンを細胞外に放出する現象の測定を実現するとともに、波長の異なる光をPRに当てた時の水素イオン排出速度(作用スペクトル)の測定も行い、細胞内で確かにPRが存在し、光で駆動される水素イオンポンプであることなどを明らかにした。

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