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富士経済、エネルギー自由化市場を調査、PPS事業行詰りを指摘

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総合マーケティング会社の富士経済は、電力やガスのエネルギー自由化市場と、EMSやESCOなどのエネルギーサービス市場を調査した結果を発表した。

2011年度は、一般電気事業者以外の事業者(特定規模電気事業者PPS)の販売電力量は、前年度比0.5%増の200.6億kWhとなる見込み。震災後に引き合いが急増したが、電力調達難と既存顧客の節電によりほぼ横ばいになると予測する。インターネットを利用してサービスを提供する、ASP/SaaS型EMSは、前年比72.0%増の43億円となる見込み。納期が短く安価で簡易なサービスとして導入が進むと予測する。

電力小売市場の自由化は、現在は電力需要全体の60%近くが自由化されている。2010年度の販売電力量は199.6億kWhであり、前年度比で30%増となった。最大手のエネットや、2010年度より本格的に事業を拡大した日本テクノオリックスなどが小口顧客の開拓を進めたことや、需要家PPS(自社や自社グループの電力調達コスト削減を主目的として、保有電源や他社の余剰電力などを活用して電力供給を行う事業者)の参入が相次いだことが市場拡大の要因となった。しかし、依然、PPSのシェアは、2010年度の実績では電力需要全体の2%、自由化対象範囲では3.5%に留まっている。

2011年度以降のPPS市場の特徴について、1.販売電力量の抑制:電力需給のひっ迫により、電力の調達が困難になり、契約解除も発生、2.「需要家PPS」の低迷:PPS市場からの撤退や参入見送りが相次ぐ、3.日本卸電力取引所(JEPX)への依存:一般電気事業者の発電能力に左右されるJEPXの電力価格、と指摘する。電力需給の逼迫は長期化する見通しで、電力価格の高止まりや燃料価格の高騰などによる電力調達難は続くとみており、PPSのトレンドは「攻め」から「守り」へと変化していると述べている。

エネルギーマネジメントシステム/サービス(EMS)市場は、2011年が1901億円(前年比103.9%)、2015年が2515億円(2011年比132.3%)となる見通し。ASP/SaaS型EMSは、2011年が43億円(前年比172.0%)で、2015年は145億円(2011年比337.2%)と約3.3倍になる見通し。BAS(中央監理装置)/BEMS(ビル管理システム)は、2011年が450億円(前年比93.8%)、2015年は800億円(2011年比177.8%)になると予測する。

2011年は電力供給不安を受けて、企業が節電への取り組みを強化している。短期的な対策としてASP/SaaS型EMSデマンド監視装置など、納期が短く安価で簡易なシステムの導入が一気に進んだ。しかし、電力供給不安の長期化と環境規制の強化により、継続的な取組みが求められており、システム単体の導入による一時的な対策だけでなく、ASP/SaaS型サービスやBEMSなどのエネルギーマネジメントシステム/サービス(EMS)による運用改善などの必要性が高まると予測する。

緊急の節電・停電対策として注目されたシステムの2011年市場は、自家発電システムが前年比133.4%、ガスヒートポンプエアコン(GHP)が前年比133.8%、電力モニタが前年比150.0%、デマンド監視装置が334.8%となる見通し。しかし、2015年は2011年比で、自家発電システムが8.18%、ガスヒートポンプエアコン(GHP)が84.2%、電力モニタが90.7%、デマンド監視装置が58.1%になると予測する。

節電対策システム市場については、2011年は節電特需により大きく拡大するが、2012年以降は需要も落ち着き、2015年には2011年の市場規模を大きく下回ると予測する。特に自家発電システムやGHPについては、ピークカットや停電対策としてランニングコストなどの採算性を度外視して設置されたケースも多く、市場の縮小規模も大きいと見られる。

エネルギー自由化市場のガス販売については、1995年より段階的に対象範囲が拡大されてきた。LNGは、産ガス国のガス需要増や、欧州主要国の原子力発電所停止に伴う需要増加、また、ガス田の新規プロジェクトの生産開始が2015年前後であること、米国の非在来型ガス(シェールガスなど)も輸出段階に達していないことから、需給の逼迫と価格上昇が予測される。国内のエネルギー事業者は、在来型・非在来型問わず、ガス田の権益取得を進めることで供給面や価格面におけるエネルギー供給の安定性向上を進めている。

今回調査した市場では、東日本大震災に端を発した、電力供給の不安等を受けて、需要家側でも節電への取り組みを強化するなど、供給側・需要側共に環境が激変している。

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