環境省、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量算定ガイドラインを公表
環境省は、事業者がサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量を算定するためのガイドラインを公表した。本ガイドラインでは日本における既存の取組状況と国際動向を踏まえ、国内の事業者がサプライチェーン排出量の算定するにあたっての基本的な考え方を提示している。
本ガイドライン作成による効果として以下のことをあげる。各事業者の事業活動は、購入や販売を通じて、サプライチェーンと繋がっており、そこに温室効果ガスの大きな削減ポテンシャルが存在する可能性がある。サプライチェーンにおける排出量の算定により、それが明らかになれば、事業者が効率的な削減対策を実施することができる。また、サプライチェーンを構成する事業者への情報提供等の働きかけにより、関係事業者間で協力して温室効果ガスの削減を推進することも期待される。更には、サプライチェーン排出量を可視化し公表することで、ステークホルダー等に対する説明責任を向上させることができる。
サプライチェーン排出量の範囲は、具体的には、事業者が購入する原材料・製品およびサービスの製造・輸送に伴う排出量、自らの排出活動に伴う排出量、さらに製造・販売した製品およびサービスの流通・使用・廃棄などに伴う排出量が算定の対象となる。なお、事業者としてサプライチェーン排出量を把握することは、製品のライフサイクル排出量(カーボンフットプリント)を把握することと密接な関係があるが、サプライチェーン排出量では資本財、出張、雇用者の通勤等、カーボンフットプリントでは一般的に考慮しない排出源も含めている。
本ガイドラインでは、原則や対象範囲、カテゴリ抽出の考え方、算定方法の概要等、算定の基本的な考え方とともに、算定結果の活用方法等について提示している。また、本ガイドラインを踏まえ、一部の業種については業種別解説を作成、検討している。今後、事例を蓄積しつつ国際的な議論の動向を見ながら、算定方法に関する課題点を解決していくとしている。
地球温暖化対策として、国内においては、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく算定・報告・公表制度や一部の地方公共団体の条例に基づく各算定・報告制度が拡大しつつある。しかし、これらの制度では事業者のサプライチェーンを通じた削減ポテンシャルが明らかにならず、自社以外での排出削減行動のインセンティブが働かないという課題が指摘されている。また、世界的にも平成23年10月に「GHGプロトコルSCOPE3算定報告基準」が策定されるなど、事業者のサプライチェーン排出量の算定・報告に関する基準化や情報開示等の動きが活発化してきている。
参考:環境省 - 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」 の公表について
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