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農研機構、海水浸水農地の塩害リスクの簡易測定方法を開発

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農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センターは、東日本大震災により海水が浸水した農地を対象に、市販土壌ECセンサを用いて塩害リスクを現場で簡易に推定する方法を開発した。また、電磁探査法により広範囲の海水浸水農地の塩分濃度把握を迅速化できることも明らかにした。これにより、広域に海水が浸水した農地の調査および対策の実施を促進されることが期待される。

3.11の東日本大震災により、2万haを超える農地が浸水等の被害を受けた。このように海水が浸水した農地では、塩害により作物が枯れる等の生育悪化のリスクが高くなるため、現地では、土壌調査に基づき、圃場の土壌中の残留塩分を真水で洗い流す、除塩作業が進められている。除塩作業の現場では、圃場の塩分濃度を、土壌中の電気伝導度(EC)を測定することにより把握している。

ビニール袋に採取した土壌を土壌ECセンサで測定

ビニール袋に採取した土壌を土壌ECセンサで測定

今回、農研機構が開発したのは、市販の土壌ECセンサを利用して、海水が浸水した農地の塩害の指標となる土壌ECを現場で迅速に調べる方法。土壌ECセンサは、ペースト状、または湿潤状態の土壌を手で握るなどして圧密した条件で測定すると測定値が安定する。土壌ECセンサの測定値を0.4倍すると、除塩の指標に利用されている慣行の分析法(懸濁液電気伝導度)の測定値に読み替えできる。

利用した市販の土壌ECセンサは、HANNA社「土壌EC計HI98331 Soil test」、DECAGON社「土壌水分・温度・EC測定プローブ 5TE(データロガーに接続して使用)」。

海水が浸水した農地の塩害の把握には、塩化物イオン濃度との相関が高い懸濁液電気伝導度(乾土1に対し蒸留水5を加えた懸濁液の電気伝導度(EC1:5))が指標に用いられている。しかし、海水が浸水した農地は広範囲に及び、土壌採取・分析には多大な労力と時間を要する。一方、土壌の土壌電気伝導度(EC)を直接測定する土壌ECセンサが市販されているが、土壌ECセンサの測定値がEC1:5の測定値よりも高くなること、土壌水分や土壌密度により変動することから、これまで農業現場ではあまり利用されていなかった。そこで、塩害農地における土壌ECセンサの利用方法を検討し、現場において迅速かつ安定的に土壌ECを測定する方法を開発した。

電磁探査装置GEM-2による測定状況

電磁探査装置GEM-2による測定状況

また、農研機構は、海水浸水農地の土壌塩分濃度を迅速に計測することに電磁探査法が有効であることを明らかにした。電磁探査装置(GEM-2、Geophex社)を用いたこの方法では、土壌を採取することなく、海水が浸水した農地における見かけの土壌電気伝導度の相対的な高低差を把握することができる。測定と同時にGPSによる位置情報を記録することによって、地図上で土壌塩分の分布を確認することが可能。本装置による調査は、広範囲における土壌電気伝導度の概況を把握するなど、詳細調査の事前調査等に活用できる。本装置は約360万円で市販されている。また、リースでの利用も可能。

参考1:農研機構 - 市販土壌ECセンサを用いた海水浸水農地の土壌電気伝導度の簡易測定法を開発

参考2:農研機構 - 電磁探査法により海水浸水農地の塩分濃度把握を迅速化

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