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漁業従事者悩ます神出鬼没の大型クラゲ

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再生利用のアイデア次第でビジネスチャンス

今年はユウレイクラゲが出没

ユウレイクラゲ

傘径およそ30cmのユウレイクラゲ(学名はCyanea capillata Eschscholtz)。本州中部以南に分布する。

9月、(独)水産総合研究センターは「今年はやや小型のユウレイクラゲの出現が多い」と報告した。

ここ数年、日本海に大型クラゲ(エチゼンクラゲ)が大量発生して、漁業従事者を苦しめている。大きなものは傘の直系が2m、重さ200㎏近いものもあるという。大型クラゲが底引き網や定置網にかかると、網を引き上げるだけでも大量のエネルギーが必要になる。時には、クラゲの重みで網が破れてしまうこともあるそうだ。また、水揚げされた魚の中には、クラゲの毒手に殺られて、売り物にならないものも出てくる。

ユウレイクラゲは直径約30cmと小型だが、大量発生すれば漁業に支障を来たす点では大型クラゲと同じ。(社)漁業情報サービスセンター(JAFIC)などは、漁業関係者に警戒を呼びかけている。

模索されるクラゲの再生利用法

大型のクラゲ

初夏に東シナ海で発生、7月から11月にかけて日本沿岸に漂着、漁具破損、漁獲物鮮度低下、漁労作業の遅延など、漁業に多大な被害を引き起こしている大型のクラゲ。
大きいものでは傘径2m以上、重さ200kgにもなる。2002年、03年と大量出現、05年には、7月上旬に東シナ海及び長崎県対馬近海で目撃され、その後日本海を北上し、津軽海峡を横断後、太平洋を南下するかたちで分布域を広げた。05年9月から12月末までに約10万2000件の被害が報告されており、同年12月には、大型クラゲに関する日本・中国・韓国の研究者によるワークショップが開催され、国際的な研究・調査が始まる。大発生が増えている原因として、地球温暖化による海水温の上昇、中国沿岸の富栄養化、餌が競合する魚類の減少などが挙げられているが、正確な因果関係は解明していない。

錦海化成のドライヤー

錦海化成のドライヤー。クラゲのほか、魚の残さやカニガラを処理して飼料化している。

クラゲと言えば、中華料理などに使われる塩クラゲが思い浮かぶ。だが塩クラゲの原料となるのは、主に小型のクラゲだ。その99%以上は水分でできている。そのため、大型クラゲを加工するには、脱水するだけでもかなりの時間をかけねばならず、手間やコストがかさむ。一方、網にかかった大型クラゲは、一般廃棄物扱いとなり、そのまま海に投げ捨てると不法投棄となる。適正処理をするにもお金や手間がかかる。漁業従事者にとって大型クラゲは、コストばかり食うやっかいものなのだ。


再利用のアイデアが生むビジネスチャンス

大型クラゲを、ワンシーズン500トン近く受け入れているのが、鳥取県境港市の錦海化成だ。1954年創業の同社は、月間平均600トン以上の魚の残さ物やカニガラを回収する登録再生事業者。回収した魚の残さは、煮た後、絞って乾燥させるクック&ドライ製法という処理を施して飼料の原料とする。また、カニガラは乾燥後、破砕して肥料の原料とする。

錦海化成が大型クラゲを受け入れ始めたのは、3年ほど前から。02年、03年と大型クラゲの大量発生が続き、農林水産省は大型クラゲの被害防止・抑制に対する基金を設立した。鳥取県も、クラゲ処理の補助を決め、一般廃棄物処理の許可を持つ錦海化成に協力要請を出した。

クラゲを処理するには数百万円のコストがかかるため、回収する際の処理費のほとんどはコストで消えていく。採算性がネックとなり、日本国内で大型クラゲを受け入れているのは同社だけ。継続して受け入れられるのも、本業で1億円を超える年商をあげ、経営が安定しているからこそ。同社取締役社長の岩本秀熙氏は、「地域によっては一般廃棄物処理の許可が取れないところもある。収集運搬業許可の基準をもう少し緩和してもらえれば、再生利用はもっと進むはず」と話す。

大型クラゲを利用する方法はないのか。コラーゲンを抽出したり、食品の原料として加工してみたりと、さまざまな取組みが各地で行われているが、いずれもコスト面など、課題の克服に奮闘している。とはいえ、視点を変えてみれば、誰もやっていないからこそ、大きなビジネスチャンスが隠れているとも言える。大型クラゲ再利用の良いアイデアをお持ちの方には、チャンスかもしれない。

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