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バイオ燃料の生産拡大には、再生産を担保する持続可能な仕組みづくりまず必要

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みずほ情報総合研究所はこのほど、トヨタ自動車からの委託を受け、バイオ燃料を中心としたWell-to-Tank(一次エネルギーの採掘から燃料タンクに充填されるまで)におけるエネルギー消費量と温室効果ガス排出量に関する研究報告書を作成、発表した。同報告書によると、化石燃料よりも温室効果ガスを抑えられるバイオマスは地域の条件によって異なり、誤った方法ではかえって温室効果ガスを増やしてしまう虞れが高い。

バイオ燃料のWell-to-Tankの温室効果ガス調査報告書

みずほ情報総研では2004年にもさまざまな輸送用燃料を製造する際に排出される温室効果ガスに関する調査研究を行い、報告書をまとめている。当時と比べて、燃料に関わる動向が大きく変化していることから、今回の報告書では、新たなデータやさらなる情報を多数盛り込んだ。

とりわけ、焦点をあてているバイオマス資源を起源とする燃料、「バイオ燃料」に関しては、現在いろんな国や地域において技術開発が進み、市場規模も拡大の一途をたどっている。それを踏まえ、バイオ燃料製造パスの選定に当たっては、日本国内に限定せず、導入が進む世界の主要国や地域を対象に、(1)すでに実現している、(2)将来実現する可能性が高い、(3)実現した場合の波及効果が大きいという視点を取り入れた。

再生産システムの構築なしにはカーボンニュートラルといえない

バイオ燃料で走るフェラーリ

バイオ燃料で走るフェラーリ。再生産を担保する仕組みをつくらないかぎりカーボンニュートラルとはいえないが、そのことが問題視されずにバイオ燃料が拡大すると新たな問題を引き起こしかねない

また、温室効果ガス排出量のうち、CO2排出量については、その発生源別に化石燃料由来、バイオ燃料由来に見やすく分けて表示した。というのも最近、バイオ燃料について、「カーボンニュートラル」が免罪符になってしまっているという懸念が出始めているからだ。

そもそもカーボンニュートラルとは、バイオ燃料を燃焼してエネルギーに利用しても、その植物を「再生産」する限り、大気中のCO2は変化しないという概念だ。ところがどうも最近、植物を燃料用に使用しても、再生産することなく切りっぱなしのままというケースが見受けられる。その状態でもカーボンニュートラルだと都合のいい解釈をしてしまう恐れがあるというのだ。この重大な懸念を払拭するためには、バイオ燃料の種類や製造パスの違いによるWell-to-Wheel(一次エネルギーの採掘から車両走行まで)での温室効果ガス排出量を把握することが重要だという認識が広まってきつつある。

海外では原則公開、日本では原則非公開のTank-to-Wheelデータ

本調査結果では、輸送用燃料1MJ(メガジュール)を製造するときのエネルギー消費量と温室効果ガス排出量の関係について、バイオ燃料の多くはガソリンや軽油と比較して温室効果ガス排出量は半分以下と少ないものの、多くのエネルギーを消費するという結果が得られた。

特に、とうもろこしからエタノール製造パスのように、プランテーション時の施肥量が多いパスや、燃料転換時のエネルギー源に化石燃料を使用するパスでは、温室効果ガス排出量の値は大きくなった。一方、間伐材からエタノール製造パスは、温室効果ガス排出量は少ないが、エネルギー消費量が莫大になってしまうという結果に。糖化収率が悪いために起こることなのだが、解決するためにはいっそうの技術開発がまたれるところだ。

同報告書には、もうひとつ日本におけるTank-to-Wheel(燃料タンクから車両走行まで)での温室効果ガス排出量の一例も算出している。この算出データは、海外では公開しているところが多いが、日本は原則非公開という。技術や燃料の可能性を検討するためには、今後、広く公表すべきだろう。

本報告書は、燃料と動力源の組み合わせによる走行距離や発熱量等あたりの環境負荷の量を豊富な表で立体的に表してもいる。自動車のライフサイクルで最も重要な走行段階にスポットを当てた評価手法の一つだ。とはいえ、バイオ燃料は、原料の生産場所や燃料の利用場所、供給量、使い勝手など幅広い見地から総合的に評価する必要がある。このレポートのみで、製造パス等の優劣を議論できるものではないと、報告書は結んでいる。

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