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高度木質バイオマス利用のカギは林道整備 エコエネルギー・ツーリズム産業も発展

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高度木質バイオマス利用のカギは林道整備
―エコエネルギー・ツーリズム産業も発展

オーストリア政府は「環境と経済の両立」に向けて、特に国内企業が持つ環境技術の輸出に力を入れている。オーストリアの環境関連企業15社が参加して、3月16日に東京・恵比寿で開かれた「環境技術・森林技術・代替エネルギー シンポジウム」に伴い来日した、オーストリア農林環境水資源管理省のニコラウス・ベラコビッチ大臣に話を聞いた。

ニコラウス・ベラコビッチ氏

オーストリア農林環境水資源管理省 ニコラウス・ベラコビッチ氏

大臣オーストリアの京都議定書における第一約束期間(2008~12年)の温室効果ガス削減義務はマイナス13%だが、日本と同様、排出量は増加傾向にあり目標達成が厳しい状況。

今後どのような対策に重点を置いて目標達成を目指すかと聞くと「京都議定書の目標は農業、そして廃棄物の分野では既に達成している。しかし交通部門が最大の課題となっており、また産業部門や家庭の暖房でも課題が残されている。今後はこれらの分野における対策が重要となる。交通対策やバイオ燃料の利用、公共交通機関の利用促進、省エネ、そして建物の断熱などに特に力を入れていく」とのこと。

日本企業との協力体制を深化

オーストリアは観光国として知られているが、今回は環境技術の企業が来日した。これらは、廃棄物処理やリサイクル、資源としての水の利用、太陽光技術などの分野で最先端の技術を持っている。中でも、忘れてはならないのが林業で、オーストリアには何百年来の歴史がある。森林を枯渇させるのではなく、木を利用して再び育てる仕組みが整っており、こういった面を、日本で紹介していきたい。

オーストリアでは森林資源が非常に大切にされている。このため木材も効率的、効果的に利用しようとしている。日本とオーストリアは、いずれも非常に古い伝統と、高い技術を持っており、共通点が多い。これらは将来、協力を強化していくうえで、よい基盤になると考えている。

'20年には再生可能エネ34%に

オーストリアは2020年までにエネルギー利用全体の34%を再生可能エネルギーに変えようとしており、現在その比率は23.4%に高まっている。再生可能エネルギーのテーマでは、木材が中心的な存在だ。現在、国内では森林が増えているが、その約1/3しか木材として利用されておらず、森の木をどのようにすれば効率的に運び出せるかが重要なテーマになっている。したがって、林道建設への投資は1つの重要な課題だ。

液化やガス化など木材の高度利用により産業振興に成功

今回は私の出身地であるオーストリア・ブルゲンラント州の南部にあるギュッシングという町を紹介しよう。ここでは木材エネルギーが余っている状態だ。そこで、ただ木材を燃焼させるのではなく、天然ガスと同質のバイオガスを発生させる、あるいは液体燃料として使うという、非常に質の高い木材利用を行っている。これは日本にも提供できる技術の1つではないだろうか。

この町は元々、産業がなく人口が流出し、さらに失業という大きな問題を抱えていた。そこで地元住民らが「森林の木という資源を何とか利用できないか」と立ち上がった。それが非常によい形で雇用創出につながった。町の周辺には現在、木の乾燥所や製材所があり、さらにさまざ まな企業がこの町へ集まってきて産業や雇用の創出が実現した。

グリーン・ジョブで雇用を創出

この取り組みによってギュッシングが模範的な場所となったため、エコエネルギー・ツーリズムといった新たな産業も生まれている。「グリーン・ジョブ(緑の仕事)」という言葉があるが、オーストリアでは環境技術の分野で昨年、売り上げが12%伸び、雇用も6.6%が新たに創出された。再生可能エネルギーや環境技術は、経済、金融危機から脱出するための1つのよい手段になると考えている。

EU15カ国の温室効果ガス排出量

京都議定書の第一約束期間(2008~12年)の目標に対するEU15カ国の温室効果ガス排出量

加盟国 京都議定書の基準年における温室効果ガス排出量(100万トン) 基準年に対する06年における変化(%) 京都議定書の第一約束期間における削減目標(%)
オーストリア 79.0 15.2 -13.0
ベルギー 145.7 -6.0 -7.5
デンマーク 69.3 1.7 -21.0
フィンランド 71.0 13.1 0.0
フランス 563.9 -4.0 0.0
ドイツ 1232.4 -18.5 -21.0
ギリシャ 107.0 24.4 25.0
アイルランド 55.6 25.5 13.0
イタリア 516.9 9.9 -6.5
ルクセンブルク 13.2 1.2 -28.0
オランダ 213.0 -2.6 -6.0
ポルトガル 60.1 38.3 27.0
スペイン 289.8 49.5 15.0
スウェーデン 72.2 -8.9 4.0
英国 776.3 -16.0 -12.5
15ヵ国計 4265.5 -2.7 -8.0

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