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農林水産業における排出量取引技術検討会/農林水産省

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J-VER参加へ、農林水産業の温室効果ガス削減検討始まる
―水田由来のメタン削減、畜産由来の窒素削減技術が有力

農林水産業における排出量取引の国内統合市場の試行的実施等推進検討会の第1回技術分科会が開催され、メタンや一酸化二窒素の削減技術が検討された。農山漁村の活性化につながる取組に期待が寄せられる。

農林水産業における排出量取引の国内統合市場の試行的実施等推進検討会の第1回技術分科会

5月29日に開催された農林水産業における排出量取引の国内統合市場の試行的実施等推進検討会の第1回技術分科会

排出量取引の国内統合市場の試行的実施が昨年10月からスタートしたが、工業・商業分野と比較して、農林水産業分野からの参加は少なく、遅れが指摘されている。

排出量取引等への積極的な参加は、農林水産業に新たな付加価値をもたらし、農山漁村の活性化にもつながるのではないかという考えのもと、国は「農林水産業における排出量取引の国内統合市場の試行的実施等推進検討会」(座長=鈴木 宣浩・東京大学大学院農学生命科学研究科教授)をこのほど設置。

同時に、上記テーマ以外にも、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)など農林水産業から発生する温室効果ガスの排出抑制や、農地土壌の温室効果ガス吸収源機能を促進するための具体的方法等を検討すべく、同検討会の中に技術分科会(座長=荘林 幹太郎・学習院女子大学教授)を立ち上げた。

非エネルギー起源ガス排出削減のプロジェクト

5月に開催された第1回技術分科会では、「非エネルギー起源ガス排出削減のプロジェクト」を議事に、次の2事例の適格性の検討が行われた。

1例目は、「農地土壌からの温室効果ガス排出削減策」で、農業環境技術研究所の八木一行・物質循環研究領域 温室効果ガスPRリーダーが報告。

『日本国温室効果ガスインベントリ報告書』によると、メタンは水田からの排出が全体の約1/5を占めている。メタンは土壌に含まれる有機物や肥料として与えられた有機物を分解して生じるCO2や酢酸などから、メタン生成菌の働きにより発生。そのメタン生成菌は嫌気性のため、水田を湛水することで生成促進される。この性質等に着目し、排水期間を長くする間断潅水を取り入れた水管理技術の実証実験を、全国9カ所で実施。結果、堪水期間を長くするとメタン発生が抑制された。

また、農地からのN2Oの発生要因や、茶園における実験結果も報告。肥料投入により硝化・脱窒過程を経て大気中に放出されるN2Oは、施肥直後に急激な増加を見せる。同実験で硝化抑制剤入り穏効性肥料や石灰窒素を使用したところ、排出削減が確認できたという。プロジェクトの方法論を策定するにあたり今後、茶園からの発生量実測によるモニタリングをどうするかといった課題が示された。

続く事例は、「低タンパク配合飼料利用によるN2O排出削減」で、農研機構畜産草地研究所の長田隆氏が発表。

養豚では、肥育豚舎から汚水浄化・堆肥化処理過程に至るまで様々なところで窒素が排出されているため上流の飼料に着目、低タンパク飼料を導入した。タンパクを低減した飼料を投入すると窒素排出が低下することは、最近の様々な研究によって明らかになっている。また低タンパク飼料は、現段階では鶏にも適応できるので、畜産分野でさらなる削減が期待できるという。

荘林座長は、「残された課題も多いが、この2事例をたたき台にJ-VER制度を取り入れていきたい」と抱負を述べた。

肥育豚1頭あたりのふん尿に起因する環境負荷ガス発生総量の算出方法

オフセット・クレジット(J-VER)制度の概要

(出典)独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所

汚水浄化と堆肥化処理を基本とするふん尿処理を行うケースで、肥育豚1頭あたりのふん尿に起因する環境負荷ガス発生総量は、肥育全期間中(8週間)の合計は、アンモニアが271~474gNH3-N/頭、メタンが270~438gCH4/頭、亜酸化窒素が16.5~49.4gN2O-N/頭と試算された。低タンパク飼料を投入するとこのうち窒素排出が低下する。こうした手法により、農業分野での排出削減が可能であるため、検討会では「今後J-VER制度を取り入れていきたい」との意欲的な発言が聞かれた

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