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ストックホルム条約と国際化学物質管理会議ICCM2/環境省

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廃絶・削減求める9物質とナノテク等4つの新規課題
―化審法との相違点ふまえた海外法制対応を

5月4~8日には残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約締約国会合(COP4)が、11日~15日には第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)がスイスのジュネーブで開催された。化学物質に対する規制や管理の枠組みは年々強化される方向にあり、二つの会合は今後の主要な争点を示すこととなった。

ストックホルム条約締約国会議(COP4)で廃絶・制限など、9種類が追加

ストックホルム条約締約国会議(COP4)では、新たに9種類の化学物質を廃絶、制限等を求める対象物質に指定することで合意にこぎつけた。今後、COP5に向けて代替品への資金と技術的支援、不履行の場合の措置などが争点となってくる。

続く日程で同じくジュネーブで開催された国際化学物質管理会議(ICCM2)では、「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」についての協議が行われた。SAICMはストックホルム条約とは異なり、加盟国に義務は課されていないが、将来発生する可能性の高い問題について、先行して協議を進めている点で、産業界が規制にいち早く対応するうえで重要な会議である。

4つの新規課題と排出量増える途上国支援が中心課題に

環境省環境保健部企画課化学物質審査室長 戸田英作氏

ICCMの副議長を務める環境省環境保健部企画課化学物質審査室長 戸田英作氏。化学物質の管理体制に対して贈られるSAICMの表彰制度。日本はシルバー・アワードを受賞した

今回新規の課題としてあげられたのはナノテク、製品中化学物質、E-ウェイスト、塗料中の鉛の4つ。ICCM2に参加した環境省の戸田英作化学物質審査室長によれば、「今回は、製品中の化学物質の管理を進めようということでおおまかな合意はあったが、国や企業がそれを通知するなどの義務が発生するものではなく、まずは情報交換を進めようということ。今後の重要課題は途上国の支援となる」とのこと。

また、「米国は事前協議でPFC(パーフルオロポリエーテル)について提案したが、準備が間に合わなかったため、PFCの情報交換を進める方針が示されたにとどまる」とのことだが、すでに米国内ではPFOA(パーフルオロオクタン酸)を80~90%削減しようというボランタリー・プログラムが実施されており、企業は排出と製品への含有を抑制しなければならない。当然、米国に製品を輸出・販売する外国の企業にもボランタリーとはいえ、対応が求められる。

さらに、会議では、温暖化と化学物質の関係、水銀などの重金属の管理なども今後の議題としてあげられた。

こうした国際条約や海外の法規制・ボランタリー・プログラムは日本の化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)とは一致していないため、相違点を踏まえた対応が求められる。

ストックホルム条約締約国会議(COP4)で追加された対象物質

付属書Aは廃絶、付属書Bは制限、付属書Cは非意図的放出の削減を求める

付属書A 物質名 主な用途 決定された主な規制内容
テトラブロモジフェニルエーテル
ペンタブロモジフェニルエーテル
プラスチック難燃剤 製造、使用等の禁止
(以下の用途を除外する規定あり)
当該物質を含有する製品のリサイクル
クロルデコン CAS No:143-50-0 農薬 製造、使用等の禁止
ヘキサブロモビフェニル CAS No:36355-01-8 プラスチック難燃剤 製造、使用等の禁止
リンデン(γ-HCH) CAS No:58-89-9 農薬 製造、使用等の禁止
(以下の用途を除外する規定あり)
アタマジラミ、疥癬の医薬品用の製造と使用
α-ヘキサクロロシクロヘキサン CAS No:319-84-6 リンデンの副生物 製造、使用等の禁止
β-ヘキサクロロシクロヘキサン CAS No:319-85-7 リンデンの副生物 製造、使用等の禁止
ヘキサブロモジフェニルエーテル
ヘプタブロモジフェニルエーテル
プラスチック難燃剤 製造、使用等の禁止
(以下の用途を除外する規定あり)
当該物質を含有する製品のリサイクル
付属書B ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、
ペルフルオロオクタンスルホン酸フルオリド(PFOSF)
CAS No:1763-23-1 CAS No:307-35-7
撥水撥油剤、界面活性剤 製造、使用等の禁止
(以下の目的、用途を除外する規定あり)
写真感光材料・半導体用途・フォトマスク・医療機器・金属メッキ・泡消火剤・カラープリンター用電気電子部品・医療用CCDカラーフィルターなど
付属書C ペンタクロロベンゼン CAS No:608-93-5 農薬 製造、使用等の禁止
非意図的生成による排出の削減

(注意)表中の情報は省略・簡略化しているため、規制内容の詳細については、POPs条約ホームページ(http://www.pops.int/)を参照
  (出典)経済産業省(http://www.meti.go.jp/press/20090512001/20090512001.pdf)

ICCM2であがった新規の課題

1.ナノテク:ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料のベネフィット及びリスクに対応するための途上国等の能力向上、各国政府及び産業界による人の健康及び環境保全のための行動の促進、研究の促進、セミナーの開催、情報へのアクセスの改善等に関する施策の強化等が決定。

2.製品中化学物質:UNEPがリードし、既存情報システムに関する情報の収集・整理及び評価、今後の活動のための提案の検討作業を行い、ワークショップを開催。UNEPに助言を行う運営委員会を設置。

3.E-ウェイスト:バーゼル条約等の関連機関と連携し、電化製品のライフサイクルを通じた化学物質の管理に着目した活動(ワークショップ)を実施。

4.塗料中の鉛:G8環境大臣会合においても子どもの環境保健に関連して言及された課題であり、グローバルパートナーシップ活動において、関係者の意識向上、鉛ばく露の可能性の検討などを行うことを要請。

SAICMは「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」における合意「化学物質が、人の健康と環境にもたらす悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する」の実現を目標としており、 1.科学的なリスク評価に基づくリスク削減、 2.情報の収集と提供、 3.能力構築と技術協力などを進めることを定めた国際的な合意文書である。政治宣言であるドバイ宣言と、適用範囲や必要性、目的等を定めた包括的方針戦略、実施のための世界行動計画から構成されている

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