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アジア太平洋パートナーシップ(APP)/経済産業省

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世界の排出量の過半占める7カ国 官民協働で温暖化対策を推進
―国際技術協力きっかけに海外受注つかんだ事例も

5月19日~20日、APPの第7回PIC会合がオーストラリア、ゴールドコーストで開催された。APPは世界の温室効果ガスの過半を占める7カ国が加盟し、エネルギーに焦点をしぼった技術移転を推進する。化石燃料を奪い合う20世紀から脱化石燃料の21世紀への構造変革を進めるAPPの役割に期待が寄せられる。

排出を削減する技術移転を実施

経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境対策室 遠藤薫氏

経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境対策室 遠藤薫氏

クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)は、2005年7月に米国主導で立ち上げられた地域協力のパートナーシップで、日本、豪州、カナダ、中国、インド、韓国、米国の計7カ国が加盟する。京都議定書締約国の占める排出量が世界の総排出量の約3割であるのに対して、APP加盟7カ国の総排出量は54%(2005年)と、世界の過半を占める。

温室効果ガス排出量が多い発電、鉄鋼、セメント、アルミ等8つのタスクフォースを組み、エネルギー効率のベンチマーク(ベストプラクティスの比較と分析)をもとに技術移転を行うことで、大幅な削減を目指す。加盟国が少数なため、すばやい意思決定が可能で、京都議定書を補完し、実質的に排出を削減する役割が期待される。

第7回PIC会合に出席した経済産業省の遠藤氏によると「京都議定書のように利害を争う場ではなく、温室効果ガスを削減するために協力する」点が最大の特徴という。APPは脱化石燃料社会の構築に向け、ボトムアップで構造改革を進めるパートナーシップ。具体的にどうやって削減するのかが主たるテーマであり、議論を経て、実際に先進国のベストプラクティスをエネルギー効率の悪い国に移転する取組みが進んでいる」(遠藤氏)

期待される海外受注の増加

電力を火力発電で1kWh作るのに必要なエネルギー指数比較(2005年)

電力を火力発電で1kWh作るのに必要なエネルギー指数比較(2005年) (出典)ECOFYS社(オランダ)2008年

セメントの中間製品(クリンカ)を1トン作るのに必要なエネルギー指数比較(2000年)

セメントの中間製品(クリンカ)を1トン作るのに必要なエネルギー指数比較(2000年) (出典)Battelle研究所(米国)2002年

鉄1トンを高炉でつくるのに必要なエネルギー指数比較(2000年)

鉄1トンを高炉でつくるのに必要なエネルギー指数比較(2000年) (出典)(財)地球環境産業研究機構 2008年

APPにおいて、日本は鉄鋼とセメントのタスクフォースで議長を務める。日本の鉄鋼連盟とセメント協会のタスクフォース・メンバーは中国とインド、それぞれ3カ所で環境・省エネ診断を実施、改善に貢献している。

問題は、メンバー企業が「手弁当」で参加していること。具体的なメリットがないため、議長国の企業の負担なしには成り立たない状態だ。

そんななか、昨年秋、住友重機械工業が中国の太源鉄鋼集団有限公司から「乾式活性炭脱硫・脱硝設備」を受注。今年5月にはスチールプランテックが「焼結クーラー排熱回収設備」のモデル事業を受注した。

タスクフォースへの参加をきっかけに中国でプラント受注にこぎつける事例もわずかながら出てきた。

また、一部関係者のあいだでは技術移転による削減量をクレジット化することも話題に上っているという。

今後は先進国の有用技術を移転する意欲を高める枠組みの構築に期待が寄せられる。


クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)の組織図

クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)の組織図

APPの活動シェア(左図)、APP加盟7カ国のセクター別排出(右図)

APPの活動シェア(左図)、APP加盟7カ国のセクター別排出(右図)

発電:総発電量(TWh、IEA、2006年)/石炭:石油生産(BP統計、2007年)/鉄鋼:粗鋼生産量(鉄鋼統計要覧、2007年)/アルミ:アルミ新治金生産量(Metal Satistics、2006年)/セメント:セメント生産量(World Satistical Review、2005年) APP加盟7カ国は、全世界の経済、人口、およびエネルギー消費の約半分を占め、全世界の石炭の約73%、鉄鋼の約60%、アルミニウムの約48%、セメントの約62%を生産している

右図

(注意)各部門排出量は直接排出量(電気は全て発電部門にカウント)。熱に関しては各部門の需要に応じて接分している。プロセス由来のCO2は含まれておらず、特にセメントは原料由来CO2排出量(燃料由来とほぼ同等)が含まれていないことに留意。その転換には、統計誤差等が含まれる
(出典)IEA統計をもとに推計 APPの8つの協力対象分野だけで、7カ国の総排出量の約6割を占めている。

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