> > 福島県に放射能汚染された草木などを燃やしてバイオマス発電する実験プラント

福島県に放射能汚染された草木などを燃やしてバイオマス発電する実験プラント

記事を保存

産業技術総合研究所は、東電環境エンジニアリングと共同で、植物系放射性セシウム汚染物を除染・減容する技術を開発し、その実証試験プラントを福島県双葉郡川内村に設置したと発表した。このプラントでは、数トンの植物系放射性セシウム汚染物を試験的に焼却し、汚染物の1000分の1の量のプルシアンブルー(PB)ナノ粒子吸着材で放射性セシウムを回収することを目指す。

これによって、今後設置される除染廃棄物用の中間貯蔵施設における必要容積の低減が期待される。また、汚染物焼却時の燃焼熱を利用してバイオマス発電を進める場合の基盤技術となることも期待される。

両社が今回開発したのは、植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、生じた焼却灰を除染した後、抽出された放射性セシウムをPBナノ粒子吸着材で回収する技術。設置したプラントでは、開発した技術の実証とプラントの運転条件最適化を目的として、実証試験を開始する。

今回の実証試験プラントの位置づけと熱利用

今回の実証試験プラントの位置づけと熱利用

具体的には、この実証試験プラントで行う放射性セシウム汚染物の除染減容工程は、燃焼・熱回収装置と、放射性セシウム除染回収装置による工程からなる。燃焼・熱回収装置では、植物系放射性セシウム汚染物を燃焼し、灰化により減容するとともに、熱交換器を用いて温水を生成する。

この装置を利用した実験では、焼却材の種類や、焼却温度、添加物の有無による灰の性状への影響評価を行う。また、熱交換器をもつ焼却炉は、温度分布が熱交換器のない燃焼炉とは異なるため、その影響を検証する。

燃焼・熱回収装置

燃焼・熱回収装置

放射性セシウム除染回収装置では、焼却灰を水や酸などの抽出原液と混合し、かき混ぜた後に固液分離して、灰に含まれる放射性セシウムを抽出原液に溶かしだす。抽出できる放射性セシウムの量は灰の性状と、抽出原液の種類に依存するため、その影響を検証する。

また、この工程のもうひとつの大きな目的には、焼却灰からの放射性セシウムの溶出性を大幅に低減することにある。一般的に焼却灰は最終処分場などに埋め立てられるが、処分場の浸出水から放射性セシウムが検出される事例も報告されている。

これは、焼却灰が水と接触した際に、放射性セシウムが溶出するために起こる。事前に放射性セシウムを抽出することで、処分後の放射性セシウムの溶出を大きく低減できる。

実証試験プラントの一部である放射性セシウム除染回収装置

実証試験プラントの一部である放射性セシウム除染回収装置

抽出液からの放射性セシウム回収には、PBナノ粒子を利用する。抽出液は特にカリウムイオンを大量に含んでいるため、吸着剤としてゼオライトなどを利用した場合にはセシウムの回収率が落ちるが、PBナノ粒子を用いると、このような場合でも、放射性セシウムを選択的かつ高効率に吸着できる。

3.11の福島第一原発の放射性物質漏えい事故以来、福島県を中心とした除染の推進が国家的課題として進められているが、除染により生じる廃棄物を減容する技術の確立が喫緊の課題となっている。

減容すべき廃棄物の一つに植物系放射性セシウム汚染物がある。住宅などの周辺を除染した際に生じる草や木の葉などに加え、農林業で生じる樹皮、堆肥なども放射性セシウムで汚染されているものもあり、また、森林除染についても、必要な調査研究を推進し検討を進めることとする、という議論がなされている。

【参考】
産業技術総合研究所 - 植物系放射性セシウム汚染物を除染・減容するための実証試験プラント

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.