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東北大、太陽電池に使う擬似単結晶シリコンの新しい育成法を開発

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東北大、太陽電池に使う擬似単結晶シリコンの新しい育成法を開発

東北大学は、太陽電池用結晶の斬新な育成法を考案し、擬似単結晶と呼ばれるシリコン結晶の育成に成功したと発表した。

現在太陽電池用基板の約50%は多結晶シリコンとなっているが、この比率は今後10年で大きく変化し、多結晶シリコンは変換効率の向上が期待される擬似単結晶シリコンに置き換えられると予測されている。このため、ここ数年で擬似単結晶の研究開発が急速に進み、製品の供給も始まっている。

しかし、擬似単結晶は、シリコン融液から種結晶を使って育成する過程で、ルツボに接する部分から種結晶とは別の方位の結晶粒が多数発生してその占有部分が拡大する多結晶化が大きな課題となっている。この多結晶化により、一つのインゴットから得られる擬似単結晶ウエハの比率が低下し、例えば、一般的な80cm角状のインゴットで多結晶化すると、擬似単結晶ウエハの歩留まりは36%まで低下する。

本研究開発では、この課題の克服のために、種結晶を複合させて人工的な結晶粒界(結晶方位の異なる結晶粒の境界)を形成し、この粒界を利用して多結晶領域の拡大を抑制する方法を考案した。

本方法によって多結晶化の範囲をルツボ壁近傍のみに留めることで、100%の擬似単結晶ウエハの歩留りが期待される。擬似単結晶シリコンは、多結晶シリコンに比較して太陽電池の変換効率が絶対値で1%弱向上するという利点があるが、歩留まりが100%に向上すると、インゴット内の全てのウエハで1%の変換効率向上の恩恵を享受できる。将来の擬似単結晶シリコンのシェア予測(2020年で全太陽電池の40%)から考えると、太陽光発電の分野に与える影響は極めて大きい。

従来技術および新技術で育成した擬似単結晶シリコンインゴットから切り出したウエハの断面写真 - 環境ビジネスオンライン

従来技術および新技術で育成した擬似単結晶シリコンインゴットから切り出したウエハの断面写真。右図中の白破線は、人工的に形成したΣ5粒界の位置。Σ5粒界によって、多結晶化が太陽電池として使用されないインゴット外周部に限定されることがわかる。

また、今回考案した人工結晶粒界を利用する方法は、現在の太陽電池用多結晶の製造ラインがそのまま使用でき、かつ製造工程の調整等なしに迅速かつ簡易に導入することができる。本研究成果は産業の要請に即時対応できる画期的な成果であり、太陽光発電分野の発展に寄与するものだとしている。

本研究成果を得たのは、金属材料研究所の米永一郎教授、沓掛健太朗助教らの研究グループ。本研究成果の一部は、JST戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)研究領域「太陽光と光電変換機能」(研究総括:早瀬修二 九州工業大学生命体工学研究科 教授)における研究課題「機能性結晶粒界による超高品質シリコン結晶の実現」(研究者:沓掛健太朗)の支援の下で得られた。この研究成果は、公益社団法人応用物理学会発刊の学術雑誌「Applied Physics Express」に平成25年1月31日にオンライン公開される。

【参考】
東北大学 - 太陽電池用の擬似単結晶シリコンインゴットの育成に成功

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