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京大&東大、カーボンナノチューブを桁違いに光らせる新方法を発見

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京大&東大、カーボンナノチューブを桁違いに光らせる新方法を発見

京都大学と東京大学からなる研究チームは、将来のナノメートル(10億分の1メートル)サイズの光ファイバー通信用省エネルギー光源や高感度な光検出器等への応用が期待されているカーボンナノチューブを、従来よりも桁違いに効率良く光らせる新たなメカニズムを世界に先駆けて見出したと発表した。

今回の研究成果は、カーボンナノチューブの光応用に向けた大きな課題であった、低い発光効率の壁を打ち破るブレイクスルーになるものと捉えられる。これにより、将来的には、光ファイバー通信のための光機能素子を作るために必要であったレアアースやレアメタルのような希少元素を一切用いることなく、環境負荷が小さく、どこにでもある元素である炭素を使って、ナノサイズの省エネルギーかつ高効率な近赤外光源などの新しい光機能素子が作れるようになるものと期待される。

カーボンナノチューブは、炭素原子のシート1層(グラフェン)を直径わずか1ナノメートル程度(髪の毛の10万分の1程度)の円筒状に丸めた細線状のナノ材料(量子細線)。極限的に細い量子細線であるカーボンナノチューブは、光をあてたり電流を流すことでエネルギーを与えると近赤外の光を発する(発光する)ことが知られている。しかし、通常、カーボンナノチューブが発光する効率は約1%程度と非常に低く、実用化のためには、大幅にその効率を上げる(明るくする)ことが強く求められていた。

カーボンナノチューブが発光する仕組みは以下の通り。カーボンナノチューブは光を吸収すると、光のエネルギーが電子のエネルギーに変換され、電子(励起子)が形成される。この励起子は、そのまま放っておけばある一定の割合で発光し、消滅する。しかし、ほとんどの励起子は、量子細線であるカーボンナノチューブ上を素早く動きまわり、すぐに端や欠陥などの「不完全な点」に衝突して発光せずに消えてしまうことが明らかになってきている。このような状況では、応用上求められている高い発光効率を実現するのは原理的に困難となる。

そこで今回研究グループは、長さ数百ナノメートルのカーボンナノチューブ量子細線上に約1個という非常に希薄な割合で、励起子と欠陥などの不完全な点との衝突を防ぐ「避難所」となるような特異点(量子ドット)を用意し、そこに励起子を閉じ込めて(動けないようにして)から光らせることに成功した。その発光の効率を調べた結果、常温において特異点部分は、カーボンナノチューブ固有の細線部分(約1%程度)と比べ、約20倍以上の桁違いに高い効率で発光(約18%程度)していることを見出した。このことは、カーボンナノチューブ量子細線上への特異点の導入により、カーボンナノチューブ固有の性質を超える非常に高い発光効率を達成できることを示している。

さらに、極限的に細いカーボンナノチューブ量子細線上に埋め込まれた明るい特異点のユニークな性質を利用することで、これまで液体ヘリウム温度(-269度)のような極低温の世界でしか実現できなかった、電子の波としての性質を利用した新しい量子光機能や素子を、エネルギーを大量に消費する冷却装置を使わず常温で実現することにもつながると期待される。

なお、本研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業個人型研究(さきがけ)の「ナノシステムと機能創発」研究領域(長田義仁研究総括)における課題の一環として行われた。また、本研究成果は、2013年7月7日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Photonics」に掲載された。

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