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JST、毒性の低い太陽電池の新材料を開発 しかも溶液塗布時に低コスト

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JST、毒性の低い太陽電池の新材料を開発 しかも溶液塗布時に低コスト

科学技術振興機構(JST)は、戦略的創造研究推進事業の個人型研究(さきがけ)において、オーストラリア・ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の橘泰宏上級准教授らが、資源が比較的豊富で安価な元素である銅・アンチモン・硫黄から成る半導体ナノ結晶の合成とその作り分けに成功したと発表した。

これまで、希少で高価な元素を使用しない低毒性元素を含む半導体ナノ結晶の開発が課題となっていた。本成果により、溶液塗布プロセスによる低コストで低毒性の無機太陽電池作製に適した新材料を開拓した。現在、塗布型太陽電池の作製に取り組んでおり、数年以内の実証実験を経て、実用化を目指す計画だ。

半導体ナノ結晶とは、半導体の結晶であり、ナノメートル(nm:1mの10億分の1)サイズの粒子のものをいう。半導体ナノ結晶は、高い光吸収特性など優れた光学・電子特性を持つことから、最近では太陽電池へ利用するための研究・開発が活発に進められている。

特に、溶液中における化学反応を利用して合成されるコロイド(1nm~100nmの粒子が気体中や液体中に分散している状態)状半導体ナノ結晶は、塗布型印刷プロセスを用いた安価な次世代太陽電池の材料として注目を浴びている。ところが、現在利用されている化学(溶液)プロセスを用いて合成されたコロイドナノ結晶の主な種類は、カドミウムや鉛など毒性の高い元素を含む半導体に限られていた。欧州連合(EU)内では、カドミウムや鉛などの有害な化学物質を含む家電製品類の製造、販売が禁止されている。このため、低価格かつ低毒性の半導体ナノ結晶の開発が望まれていた。

今回、安価で低毒性の元素として銅・アンチモンを選択し、硫黄を組み合わせた3つの元素から成る半導体ナノ結晶について、それらの条件一つ一つを総合的・系統的に精査することで、標的の半導体ナノ結晶の作り分けに成功した。さらに、得られたナノ結晶を用いて、塗布法により薄膜を簡単に作製可能であることが分かり、薄膜から安定的に光電流が生じることも確認した。

これにより、前述の成果を得ることができた。さらに、本研究で用いたコロイドナノ結晶合成法は、ほかの金属元素にも応用可能であるため、将来的には今回のものと異なる有用な元素を用いて、太陽電池以外にも使用可能な半導体ナノ結晶の開発にも広く貢献することが期待される。

本研究は、オーストラリア連邦 科学産業研究機構(CSIRO)のジョウル・ヴァン・エムデン博士らと行われた。本研究成果は、7月23日(米国東部時間)に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」で公開されている。

【参考】
科学技術振興機構(JST) -
太陽電池に適した低コストで毒性が少ない半導体ナノ結晶の合成に成功

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