> > 進む燃料電池の低コスト化 東北大と東北特殊鋼が新材料を開発

進む燃料電池の低コスト化 東北大と東北特殊鋼が新材料を開発

記事を保存

東北大学と東北特殊鋼(宮城県)は、固体高分子形燃料電池(PEFC)を健全に作動させるために重要な純水の流れを制御する電磁弁鉄心用の「快削高耐食性電磁ステンレス鋼」を共同開発した。

これにより、従来快削材料がなかった高耐食性電磁ステンレス鋼製の水用電磁弁部品の加工コストが低減され、燃料電池の普及促進に貢献するものと期待される。今後は、試作材を電磁弁メーカーのサンプル評価に供しながら、順次量産へ移行する。なお、今回の開発成果の詳細は、9月24日に福島市で開催される「第60回材料と環境討論会」で発表される。

東北特殊鋼は、2001年に東北大、産業技術総合研究所東北センター、及び大同特殊鋼(愛知県)と共同の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)補助事業で、鉛フリー快削鋼の開発を目的に「チタン炭硫化物(TiCS)分散型快削鋼」を開発。その際、元々鉛含有鋼ではないK-M38についてもTiCS分散型のK-M38CSを試作したが、同鋼種の快削化ニーズがまだ顕著ではなく、実用化開発には至らなかった。

その後の約10年間にK-M38の固体高分子形燃料電池部品用材料としての普及が進み、切削コストを下げたいとのメーカーの要望が強くなってきたことから、金属材料中の硫化物の電気化学的性質に詳しい東北大の原信義教授が東北特殊鋼から委託を受け、固体高分子形燃料電池を模擬した水環境(80℃、超純水)でのK-M38CSの耐食性と成分元素の溶出挙動について評価した。その結果、K-M38CSはチタン炭硫化物が分散していてもK-M38と同等の耐食性を有し、代替鋼として使用可能であることが確認された。

固体高分子形燃料電池では、電解質膜の加湿、水素を発生させるための都市ガスの水蒸気改質、電極の冷却などのために純水が使われる。この純水の流れを制御する電磁弁の部品の腐食や材料成分の溶け出しなどによって水質が劣化すると、発電性能の低下を速めることから、これらの部品には水環境で高い耐食性をもつ材料が使われている。

このような高耐食性と優れた磁気特性を持つ材料として、東北特殊鋼の電磁ステンレス鋼(K-M38)が広く使われているが、高い耐食性をもたせるために、主要組成以外には、マンガン硫化物等の切削性をよくする成分をほとんど添加していないことから、電磁弁メーカーなどから切削性の改善を要望されている。

【参考】
経産省、26年度予算の概算要求を公表 省エネ・再エネ投資に重点配分(2013/9/5)
ソフトバンク参入で風雲急を告げる 定置型燃料電池市場(2013/7/29)
福岡県で水素・燃料電池の国際政策会議 11月開催(2013/6/28)
燃料電池車等の水素タンクの技術基準が改正 容量拡大(2013/5/17)
富士経済、2025年度には燃料電池市場は74.2倍と予測 HCV普及が後押し(2013/3/15)
田中貴金属、神奈川県平塚市に燃料電池用触媒の専用工場を建設(2013/2/27)
九州大、カーボンナノチューブの耐久性向上に成功 燃料電池を長寿命化(2013/2/26)
世界を牽引する日本のSOFC技術(2013/2/25)
北大など、燃料電池の効率向上に寄与する新規合金触媒を開発(2012/9/14)
東北大学 - 燃料電池用快削電磁ステンレス鋼を共同開発

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.