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NIMSとJST、光電子分光法による固液界面での電気化学反応のその場追跡に成功

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NIMSとJST、光電子分光法による固液界面での電気化学反応のその場追跡に成功

蓄電池や燃料電池、太陽電池などにおいて、液体と固体が接する境界面はエネルギー変換や利用を担っている重要な場所となっている。NIMSとJSTは、従来、真空中でのみ測定が可能であったX線光電子分光法によって、固液界面における電気化学反応のその場追跡に世界で初めて成功したと発表した。

今回、物質・材料研究機構(NIMS)ナノ材料科学環境拠点および科学技術振興機構(JST)の研究グループは、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点および高輝度放射光ステーションと共同で、大型放射光施設SPring-8の高エネルギーX線とシリコン薄膜窓を用いた新しい測定システムを開発し、今回の研究成果を得た。本成果によって、蓄電池や燃料電池といった主要なエネルギーデバイスの固液界面プロセスの解明が進むことが期待される。

エネルギーの利用効率を極限までに高めようとする昨今の研究開発では、経験則に頼った材料開発から脱却し、戦略的に材料設計を可能とするような明確な評価手法が必要となっている。このことから固液界面の反応の動的挙動を反応が起こっている環境(その場)で直接観察・計測する手法が求められていた。他方、X線光電子分光法は、物質にX線を照射し、表面に存在する元素から放出された光電子のエネルギーを分析することで、表面の元素の種類やその化学的な状態を評価することができる手法だが、真空中で測定を行うことが不可欠であり、固液界面の反応を直接、その場で観測することはできなかった。

本研究グループは、SPring-8の高輝度で高エネルギーなX線を独自に作成した厚さ15nmのシリコン薄膜窓を透過させることで、非真空中の固液界面の電気化学反応をその場で観測することに成功した。具体的には、シリコン薄膜をX線と光電子を透過する窓、真空と液体を隔てる壁、電気化学反応用の電極として利用し、SPring-8の高輝度で高エネルギーなX線を用いることで、シリコン薄膜窓(固体)と液体の界面で放出された光電子を(薄膜を通して)真空側で検出する測定システムを開発した。このシステムによって、水中で電位をかけることによってシリコン表面に酸化膜が成長する、という電気化学反応のその場観測に成功した。

本研究の成果によって、燃料電池や蓄電池のための高性能材料設計への貢献とともに、反応機構や既存材料の問題点を明らかにすることによって、電池電極や触媒材料といった重要な部位の開発や性能向上に役立つことが期待される。具体的には、従来は困難であった界面の組成や状態の定量的な評価が可能となり、副反応や反応の生成物の特定によって電極や電解質の劣化の機構を解明することに役立つものと考えられる。

本研究は文部科学省の委託事業「ナノテクノロジーを活用した環境技術開発プログラム」および独立行政法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業・個人型研究(さきがけ):「エネルギー高効率利用と相界面」研究領域(研究総括:笠木伸英)の一環として行われ、9月13日午前3時(日本時間)発行の米国物理学協会の応用物理学誌「Applied Physics Letters」オンライン速報版で公開された。

【参考】
NIMS - 光電子分光法による固液界面での電気化学反応のその場追跡に成功

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