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自然エネ財団が提言 2030年にはさらに3割省エネ(2010年比)が可能と試算

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自然エネ財団が提言 2030年にはさらに3割省エネ(2010年比)が可能と試算

ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が代表を務める自然エネルギー財団は、政府が策定を進めている「エネルギー基本計画」に対して、提言を発表した。

本提言では、原発を今後とも日本の基幹電源とすることを求める議論への批判を行うとともに、省エネルギーの推進と自然エネルギーの拡大を進め、分散型エネルギーシステムへと転換していくことが、日本経済の新たな成長につながることを提起している。

提言の中で、「原発ゼロ」をめざす方針を政策決定し、廃炉にしていけば、核燃料費の1800億円もあわせ、合計約1兆円以上にものぼるこうしたコストを削減することができると指摘。

また、2012年度には省エネによる節電で、すでに約1兆円の燃料費を削減し、2030年度までには、さらに30%(2010年比)の省エネが可能と試算している。さらに、東日本大震災が明らかにした大規模集中型電力システムの脆弱性を克服するため、分散型電力システムへの転換が必要であることや、燃料電池や太陽光発電の普及は電力の需要者が供給者ともなる「プロシューマー」を大量につくり出し、エネルギービジネスの姿を変えていくとしている。

また、5つの各論の中で、今後の固定価格買取制度 における家庭や製造業の負担や、省エネルギーの可能性等について推計を行っている。「固定価格買取制度と費用負担」では、独自に2020年度の日本における自然エネルギーの費用負担を推計している。一家庭あたりの負担額は、2020年度には月額約570円になるが、省エネの推進によって、家庭の電気消費量自体を減らすことができるため、電気代支払額自体はいまとほとんど変わらないか、減少するとみている。

また、2020年度の製造業における賦課金は、生産額全体のコストを0.25%引き上げることにつながると予測する。家庭や企業に過度の負担をかけず、自然エネルギーの拡大が可能だとしている。

さらに、日本のエネルギー供給構造を省エネルギー・自然エネルギー型に変えなければ、化石燃料価格の上昇によって、日本の燃料費負担は大幅に増大していくことになると説く。2020年までの自然エネルギーの拡大には一定の負担はあるものの、中長期的な視点に立てば、省エネルギー化の推進とともに、自然エネルギーを推進していくことが、経済的にも最も合理的な選択であるとしている。

「系統接続問題」では、日本の電力会社間の連系線容量は物理的に「足りない」のではなく、正しくは、制度的に「使われていない」のであって、系統の運用ルールを自然エネルギーの導入拡大を前提として見直すことで、相当程度まで導入を増やすことができるはずと指摘している。

なお、本提言で前提としている電源構成は、2012年度が自然エネ等が1,034億kWh(構成比9.6%)、火力が9,537億kWh(同88.9%)、原子力が159億kWh(同1.5%)で合計で10,730億kWhであるのに対して、2020年度は自然エネ等が2,120億kWh(構成比22.9%)、火力が7,150億kWh(同77.1%)、原子力0で合計9,270億kWh、2030年度は自然エネ等が3,340億kWh(構成比41.2%)、火力が4,760億kWh(同58.8%)、原子力0で合計8,100億kWh、としている。

電力需要については、省エネルギー化の効果を積み上げ、試算するとともに、電力供給のうち、自然エネルギーの供給量については、環境省(2012)の自然エネルギー高位シナリオの導入量が達成されると想定した。ただし、環境省試算では自家用水力発電や揚水発電等が含まれていないものと考えられるため、それらを含めた値を想定した。

本提言の概要は以下の通り。
同財団では、策定が進められている新しい「エネルギー基本計画」について、

  1. 原発からの脱却を進める
  2. 気候変動の危機に立ち向かう
  3. 「エネルギー転換」による日本経済の新たな成長をめざす

の3つの観点を踏まえて、以下の5つの提言を取りまとめている。

■5つの提言

【提言1】
「原発ゼロ」を決定し、「負の遺産」の増加をストップ、安全なエネルギーへの投資を加速

【提言2】
自然エネルギーの拡大で、19兆円の経済投資、国内企業と地域経済を活性化

【提言3】
省エネルギー、天然ガス火力効率化、自然エネルギー拡大で、現在と将来の燃料費問題を解決 ―原発再稼働が燃料費問題解決の道ではない

【提言4】
「原発+石炭」から「自然エネルギー+天然ガス」への転換で、自給率を向上、二酸化炭素の削減を進める

【提言5】
分散型電力システムへの転換で、需要者が中心となる自律型エネルギー社会へ

また、同財団では、1.自然エネルギー拡大の可能性、2.固定価格買取制度と費用負担、3.系統接続問題、4.省エネルギーの可能性、5.原発のたたみ方、について、推計等を行い、5つの各論を紹介している。

自然エネルギー財団は、今後、この提言を踏まえ、安全で持続可能なエネルギーシステムの実現を願う多くの人々、企業、団体と共に、日本再生に向けた新たな成長戦略をつくりあげる取り組みを進めていく考えだ。

【参考】
自然エネルギー財団 - 「エネルギー基本計画」への提言-「原発ゼロ」の成長戦略を-

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