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JSTなど、化合物系太陽電池による太陽光の高効率吸収で新技術を実証

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JSTなど、化合物系太陽電池による太陽光の高効率吸収で新技術を実証

物質・材料研究機構(NIMS)と科学技術振興機構(JST)は、III-V族窒化物半導体に多重の中間準位(バンド)を形成することで、太陽光の高効率吸収に成功したと発表した。本研究により、従来は活用が難しかった太陽光の幅広い波長成分の利用を可能にし、太陽電池の効率向上に大きく寄与することが期待される。

本研究グループでは、有機金属化学堆積法(MOCVD法)を用い、n型InGaN層上に発電機能を発揮する領域としてInGaN/GaN量子井戸構造の30層からなり、In組成を変化させたInGaN量子ドットを各量子井戸に埋め込んだ構造の中間バンド太陽電池を作製した。

この太陽電池の外部量子効率(太陽電池に毎秒吸収された光子に対して何個の電子を発生させるかを比率(%)で示した値)を測定したところ、2.40、2.29、および1.97eVの複数の中間バンド準位が形成され、その結果、本来のInGaNでは利用できなかった450nmから750nmの光が吸収され、電気エネルギーに変換されていることを確認した。

中間バンド太陽電池の外部量子効率スペクトル

中間バンド太陽電池の外部量子効率スペクトル

太陽電池は、その電気エネルギーへの変換効率の向上が求められている。この変換効率を高めるためには、材料の品質や太陽電池構造を改善して電気エネルギーへ変換する効率を上げる方法と、太陽光の特定の範囲の光だけでなく、広い波長範囲の光を利用する方法の2つのアプローチがある。

中間バンド方式の量子ドット型太陽電池は、量子ドット間を電子的に結合させることで生じる中間バンドを活用し、幅広い波長の光を吸収できるように構成されたもの。複数の中間バンドを有効に活用できるように構成した中間バンド方式の量子ドット型太陽電池の理論変換効率は75%に達するという研究結果が東京大学の荒川教授らによって報告されている。

今回の成果は短波長の太陽光成分しか活用できないInGaN型の化合物半導体材料を用いる場合でも、複雑な構造となるタンデム構造を形成することなく広い波長範囲の太陽光成分を利用できることを意味し、その結果として変換効率が大きく向上できる可能性を示しており、太陽電池の効率向上に大きく寄与することが期待される。

本研究はJSTの戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)「エネルギー高効率利用と相界面」研究領域(研究総括:笠木 伸英)における研究課題「高効率光電変換デバイスの実現に向けたIII族窒化物のマルチバンドエンジニアリング」(研究者:サン リウエン)の一環として行われ、Advanced Materialsオンラインに掲載予定。

【参考】
JST - InGaNの多重中間準位を活用した太陽電池の高効率化の原理を実証
NIMS - InGaNの多重中間準位を活用した太陽電池の高効率化の原理を実証

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