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東大、世界の気候変動影響評価の最新の知見を発表 ホットスポットも特定

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東大、世界の気候変動影響評価の最新の知見を発表 ホットスポットも特定

東京大学は、世界13カ国による国際共同研究プロジェクトの成果として、水、農業、生態系、健康分野における世界の気候変動影響評価の最新の知見を発表した。

今回、東京大学が参加する気候変動影響評価のモデル相互比較国際プロジェクト「ISI-MIP」では、水資源・水災害、農業・食糧生産、陸域生態系、健康(マラリア)の4分野を対象とし、5つの気候モデルが予測する将来の気候条件を合計35の影響評価モデルに与え統合的な気候変動の影響評価を行った。

その結果、複数分野に及んで温暖化の影響を顕著に受ける地域(ホットスポット)として、アマゾン南部、欧州南部、アメリカ中部、アフリカ東部などを特定した。また、気温の上昇に伴い慢性的水不足に分類される地域が増大し、影響を受ける人口も増加すると推計した。

気候変動は環境の変化を介し社会に大きな影響を与えるため、緩和策・適応策の議論には具体的な影響の予測が欠かせない。気候変動研究において数値モデルを使ったシミュレーションは多くの情報を提供してきたが、モデルや実験設定により結果にばらつきが生じるため予測には不確実性が伴う。そこで複数のモデルを同一条件下でシミュレーションし、相互に比較することが不確実性を定量化するために極めて重要であるとされている。これまで大気や陸面過程など個別の分野ではモデルの性能に関する相互比較が進められてきたが、影響評価に関する比較プロジェクトの前例はなく今回が世界初の試みである。

同大学では今回のプロジェクトの成果として、以下の3点をあげる。

  • 世界13カ国合計40の研究機関が参加した国際プロジェクトによる世界初のグローバルな多分野横断型の温暖化影響評価であること。
  • 水、農業、生態系、健康の4分野を共通の枠組みで横断的に扱った影響評価として気候変動研究分野で先駆的な試みであり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)にも貢献。
  • 地球全体の平均気温の変化と気候変動影響とを関連付け、水資源や生態系に対して、特に大きな温暖化影響が予測される地域を抽出。

ISI-MIPはドイツ・ポツダム気候影響研究所が主導する国際プロジェクトで、日本からは東京大学のほか、国立環境研究所が参加している。今回ISI-MIPの成果は、PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)12月17日号の特集記事で9つの論文として発表された。そのうち、東京大学の研究グループが関わり、論文に共著者として名前が入っている論文は5本である。また、これらの研究は科学研究費補助金基盤研究(S)23226012ならびに文部科学省委託事業気候変動リスク情報創生プログラムの成果の一部である。

ISI-MIPで行った研究の大きな特徴の一つは温暖化の影響を地球全体(全球)の平均気温の上昇の大きさ(⊿GMT)と対応づけた点にある。温暖化の緩和/適応策の政策決定において⊿GMTは重要な指標である。

例えば緩和策の議論では、⊿GMTを産業革命以前に比べて2度以内といった目標値内に収められるようにCO2排出量が協議されている。またそのような議論は、分野ごとに異なる気候変動の影響を広く考慮し分野横断的になされるべきであるが、従来は個別分野で扱われてきた。そこでISI-MIPでは新たに(i)⊿GMTの上昇に伴って温暖化の影響がどう推移していくかということと(ii)⊿GMTに対する影響の深刻度が複数の分野にどの程度またがっているのかという重複度を定量化することの2点の重要性に着目し、これらをまとめた。

【参考】
東京大学 - 水、農業、生態系、健康分野における世界の気候変動影響評価の最新の知見

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