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NIMS、レアメタルのジスプロシウム不使用のネオジム磁石を開発

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NIMS、レアメタルのジスプロシウム不使用のネオジム磁石を開発

暗く観察されているのがNd2Fe14B化合物の結晶で、白く観察されるのがNd。扁平なNd2Fe14B粒子の磁化容易軸は扁平な面の垂直方向に向いている。(右側が今回開発したもの)

物質・材料研究機構(NIMS)は、希少金属のジスプロシウムを一切使用しないで、ジスプロシウムを4%含む焼結磁石と同等の保磁力と同等以上の最大エネルギー積をもつネオジム磁石を開発した。

本研究では、大同特殊鋼から提供された、従来の焼結磁石の20分の1程度の大きさの結晶からなる熱間加工ネオジム磁石に、低融点のネオジム銅合金(Nd70Cu30)を溶かして結晶粒の間に浸透させ、ネオジム銅(NdCu)合金層を形成することで、熱間加工磁石の保磁力を高めた。

しかし、この方法では、磁石の体積膨張を伴うため磁化が希薄化し、磁力が低下する。そこで、NdCu拡散浸透時の体積膨張を押さえるという工夫で、高保磁力を実現すると同時に、最大エネルギー積を維持を実現した。この膨張拘束拡散処理された熱間加工磁石は、従来の焼結磁石と比べて保磁力の温度依存性が低く、その結果、ジスプロシウムを一切用いずに、200°Cの最大エネルギー積で4%ジスプロシウムを含む焼結磁石よりも優れた値を達成した。

近年ハイブリッド車用モータの用途でネオジム磁石の使用量が急増しているが、使用中に温度が200℃程度まで上がるため、耐熱性に効果のあるジスプロシウムが8%程度使われている。しかし、ジスプロシウムは原料の産地が限られた地域に偏在することや地政学的資源リスクが高いことから希少金属(レアメタル)に分類されており、その使用量の削減が強く求められている。一方で、耐熱性の指標となる保磁力の向上には磁石を構成する結晶粒の微細化が効果があることが知られており、これによりネオジム磁石の耐熱性を高める研究が進められていた。

本研究では、ネオジム銅(NdCu)合金層の形成により、熱間加工磁石の保磁力を1.40T(テスラ:材質特性の保磁力を示す磁束密度の単位)から1.97Tまで高めた。この方法による磁力の低下を抑える工夫により、室温で1.92Tもの高保磁力を実現すると同時に、最大エネルギー積を維持した。今後は、室温で2.5T、200℃で0.8T程度の保磁力を有するネオジム磁石の開発をめざして、さらに研究を進めていく。

本研究は、科学技術振興機構(JST)の研究領域における研究課題「ネオジム磁石の高保磁力化」の一環として行われたもの。本成果は、金属系材料の速報誌Scripta Materialia誌のオンライン版に掲載される。

【参考】
NIMS - ジスプロシウムフリーネオジム磁石の開発

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