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電事連会長「原発は新しい国策民営の在り方を」 「再エネはまだ基幹電源になり得ない」

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電気事業連合会(電事連)の会長の八木誠氏(関西電力社長)は、18日の定例会見で、「今夏の電力需給見通し」について、予断を許さない需給運用になるとの認識を示した。新設火力の運転前倒しや周波数変換所を介した東西間の電力融通の活用等、各社が調整を行うとともに、定着した節電を織り込むことで、最低限必要とされる予備率3%を確保できる見通しだ。

政府が11日に閣議決定した「エネルギー基本計画」についても言及し、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、特定の電源や燃料に過度に依存しない、バランスのとれた供給体制を構築することの重要性が提示されたことを評価した。

また、電事連は、同日、2013年度分の電力需要実績(速報)について公表した。2013年度の電力需要は、10社販売電力量合計で8,485億kWh、対前年伸び率は0.4%減と3年連続で前年実績を下回った。一方、産業用需要の大口電力については、0.5%増と3年ぶりに前年実績を上回った。これは、紙・パルプ、窯業・土石、非鉄金属を除く主要業種において前年実績を上回ったことなどによる。

10電力会社合計の大口電力主要業種別実績(速報) (単位:百万kWh、%)

  当年度(2013年度) 至近3ヵ年の実績
対前年比 電力量 12年度 11年度 10年度
繊維 4,035 101.6 92.5 96.5 111.7
紙・パルプ 8,461 99.2 92.4 93.4 105.1
化学 26,395 100.9 96.9 96.7 107.1
窯業・土石 10,709 96.1 97.1 99.4 112.4
鉄鋼 37,307 103.9 98.6 100.3 122.4
非金属 14,279 94.3 96.7 97.8 109.0
機械 68,789 100.4 96.3 96.1 107.3

電力各社による「今夏の電力需給見通し」の報告を踏まえて、電力需給検証小委員会で、追加対策の必要性などについて検討が進められる予定。2013年度分の電力需要実績も参考の資料となりそうだ。

八木氏による定例会見の概要は以下の通り。

 「今夏の電力需給見通し」では、各社とも原子力発電の稼働ゼロという前提で、需給バランスを組んでいる。このため、大飯発電所3・4号機が稼働していた昨夏と比べると、今夏はその分の236万kWが減少していることに加え、大規模電源であるJパワー・松浦発電所2号機のトラブルが長期化する見通しであり、とりわけ中部・西日本地域で厳しい需給が見込まれている。仮に東西間の電力融通を行わない場合、中部・西日本地域の予備率は2.7%となり、安定供給維持に最低限必要とされるレベルを下回るという厳しい状況にある。

 また、2013年度の化石燃料の消費量は東日本大震災前と比べると2倍以上の増加となっており、燃料費の大幅な負担増が、電力需給の面はもとより、電気料金水準の維持・国民負担の軽減の面においても、原子力発電の果たす役割の大きさを痛感している。原子力規制委員会に対しては、原子力発電の早い再稼働に向けた審査について、迅速、的確な対応を求めている。

 「エネルギー基本計画」では、前政権の「2030年代に原発稼働ゼロ」という方針を転換し、「S+3E」(安全性(Safety)+エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment))の観点から、特定の電源や燃料に過度に依存しない、バランスのとれた供給体制を構築することの重要性が示された。

 その中で原子力発電については、今後電力システム改革が進展する中で、「原子力事業環境の在り方について検討を行う」と明記された。原子力発電には、万が一事故が起きた場合の対応など、リスクを限定する方策も必要であり、競争が進展した環境下においても、民間が原子力を担っていくために、新たな国策民営の在り方について、速やかな検討を要望していく。


八木氏は、再生可能エネルギーについては、電力会社としても技術的な導入可能性を踏まえながら、エネルギー自給率の向上や環境性に優れる再エネを最大限活用していくべきではあるが、一方、太陽光や風力などは、安定供給面での課題も大きく、少なくとも現時点では、基幹電源には成り得ないことも事実と述べた。また、導入拡大には国民生活や経済活動への負担が伴うため、どの程度までなら受容し得るか、といった議論も必要であり、技術革新による将来性に期待しつつ、時間軸をもって着実に取り組みを進めていく必要があるとの考えを示した。

【参考】
電事連 - 電事連会長 定例会見要旨(2014年4月18日)

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