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米国、省エネの新規制案発表 州ごとに火力発電所のCO2排出を3割減目指す

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米環境保護局(EPA)は、2日、既存の火力発電所から排出されるCO2排出量を、2030年までに2005年比で30%削減することを目標とする新しい規制案「クリーン・パワー・プラン」を発表した。

本規制案では、CO2削減の目標の実現に向けては、各州で具体的な計画を決めるなど、州ごとの権限を認めている。EPAは2015年6月までに最終規則をまとめる予定。この最終規則をもとに、各州は2016年夏までに計画を提出することになる。但し、州が計画策定に時間を要する場合などは、2段階のプロセスで計画を提出することもできる。

本規制案では、2030年までの目標として以下のことを掲げている。

  • 発電所から排出されるCO2排出量を2030年までに2005年比で30%削減する。これは米国内で1年間に家庭から排出されるCO2排出量の半分以上に相当する。
  • 窒素酸化物(NOx)等の大気汚染微粒子を25%以上削減する。
  • 930億ドルを気候変動対策と公衆衛生に投資する。これにより、若者の死亡者数を6,600人、小児喘息数を150,000人、失業者や学校に行けない者を490,000人減らす。
  • エネルギーの効率化と電力の需要抑制により、電力コストを約8%下げる。

本規制案は、オバマ大統領が昨年夏に発表した気候変動対策「Climate Action Plan」に基づいて、EPAがまとめた。EPAは、クリーンエネルギーの推進と消費エネルギーの削減は、温暖化対策として重要であるだけでなく、大気汚染の軽減により次世代の健康を守るものであり、同時にアメリカに競争力をもたらし、イノベーションの促進や雇用の創出にも寄与するものである、と説明している。

アメリカで稼働する火力発電所が排出する温室効果ガスは、同国内における排出量の約1/3を占めている。発電所が排出する大気汚染微粒子等に対する規制はすでに設けられているが、CO2排出量に対する規制はなかった。発電所のCO2排出量を削減する規制案は、今回が初めてとなる。

本取り組みは、州政府とのパートナーシップのもとに取り組みを進めていく。州は、ガイドラインとして提示された削減目標を達成するための計画を策定する。州には、これまでの施策や個別のニーズに合わせて、多様な電源構成、エネルギーの効率化、需要家に対するエネルギーマネージメントなどをもとに、柔軟に計画を策定することができる。また、一つの州で計画を策定することも、複数の州が共同で計画を策定することも認める。

アメリカでは、現在までに、47の州において、需要に対して省エネを促すための仕組みを採用しており、38の州において、電気事業者に対しての再生可能エネルギーの利用割合(renewable portfolio standards)の基準や目標を持っている。また、10の州は、市場ベースの温室効果ガス排出に関するプログラムを持っている。EPSは、これらのプログラムの活用していくことが、発電所のCO2削減の実現につながると期待する。

EPAでは、今後120日間、パブリックコメントを受け付けるとともに、6月28日の週に、4都市で公聴会を開催する。これらを踏まえて、最終規則をとりまとめる。

今回EPAが発表した規制案はかなり厳しいもので、アメリカでは、オバマ大統領が温暖化対策で大きな一歩を踏み出したと評価をする声があがる一方、石炭関連業界等からは強い反発も予想されている。いずれにしても、来年パリで開催される国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、オバマ大統領が話し合いの主導権を握ることになるとみられている。

米国環境保護局(EPA)気候変動担当官Joe Goffman氏による解説(英語)

【参考】
EPA - EPA Proposes First Guidelines to Cut Carbon Pollution from Existing Power Plants/Clean Power Plan is flexible proposal to ensure a healthier environment, spur innovation and strengthen the economy

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