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モータやトランスの電力損失を大幅削減 東北大、ナノ結晶合金材料を新開発

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東北大学金属材料研究所は、トランス(変圧器)やモータ等に用いられる鉄心に応用することで、大幅なエネルギー損失低減と機器の小型化の実現が期待される、ナノ結晶軟磁性材料の開発に成功したと発表した。10月よりサンプル供給を開始する予定。

文部科学省主導の「東北発素材技術先導プロジェクト」の超低損失磁心材料技術領域で、既存材料を凌駕する高飽和磁束密度や低鉄損等の優れた磁気特性を有するナノ結晶合金を新たに開発し、その製造技術にめどをつけた。

幅120mmのナノ結晶合金薄帯

幅120mmのナノ結晶合金薄帯

詳細な材料組成検討により開発された軟磁性ナノ結晶合金は、厚さ約40μm、幅は最大120mmの薄帯形状であり、溶けた合金から効率的に直接連続鋳造される。このナノ結晶合金薄帯を積層あるいは巻回して作製される磁心(トランス(変圧器)やモータ等に用いられる鉄心)は高飽和磁束密度と超低損失特性を示し、磁心の小型化と同時に電力伝送の大幅なロス削減や家電製品の消費電力低減に大きく貢献するものと期待される。

今後は、高度な生産技術を有する企業との共同開発による大量生産体制の構築で一般家電製品の省エネルギー化を推進するとともに、薄帯のさらなる幅広化と厚肉化により電力伝送用柱上トランスの試作に取り組み、平成29年度の実用化を目標に、東北地域の革新的材料開発拠点の形成を目指す。

東日本大震災以降、電気エネルギーの安全な製造方法と効率的使用が喫緊の社会的解決課題となっている。1979年に制定された省エネルギー法においても、エアコン、電気冷蔵庫等の一般家電に対して厳しい性能向上が求められている。さらに、1997年の京都議定書成立に基づく「トップランナー方式」措置制度は、さらに厳しい省エネルギー達成目標を一般家電製品に求めている。

電磁変換時のエネルギー損失を支配する磁心材料は、数十年に渡り主に電磁鋼板(ケイ素鋼板)が用いられ、その地道な材料特性の改善により損失低減が図られてきた。しかし、モータやトランスの磁心からの電力損失(鉄損)は国内電量消費量の約3.4%を占め、この損失は50万kWhクラスの火力発電所7基分に相当する。

昨今の省エネルギーに対する社会的関心の強さから、日本が強みとする材料革新によるブレークスルーが求められている。これらの課題を解決するため、アモルファス合金を用いた磁心の実用化が検討されている。アモルファス合金磁心は極めて小さな鉄損を示すことから「トップランナー方式」による電気機器の高効率化を達成すると期待される。しかしアモルファス合金は、従来の電磁鋼板(Bs=1.9 T)にくらべて飽和磁束密度が低く(Bs=1.6 T)、磁心が大型化するという欠点があった。このような背景から、電磁鋼板に匹敵する高飽和磁束密度とアモルファス合金並の低鉄損を兼備した革新的磁心材料の開発が強く求められていた。

本革新的材料の開発により、小型軽量でエネルギー損失の極めて小さな磁心の実用化可能性を確認でき、「トップランナー方式」の数値目標を達成可能な電気機器の実現に目処をつけることができた。

なお、本成果は、文部科学省からの委託を受けた東北発素材技術先導プロジェクト「超低損失磁心材料技術領域」の研究開発により得られたものである。超低損失磁心材料の研究開発は、文部科学省主導の東北発素材技術先導プロジェクトにおける3テーマの一つ。

【参考】
東北大学 - 電力損失の大幅削減可能なナノ結晶軟磁性材料の開発に成功

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