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有機薄膜太陽電池の電荷移動を妨げるメカニズム発見 変換率向上に期待

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有機薄膜太陽電池の電荷移動を妨げるメカニズム発見 変換率向上に期待

産業技術総合研究所は、有機薄膜太陽電池の電荷移動を妨げるメカニズムを発見したと発表した。この発見により、電荷の輸送特性に優れる発電層を作製することで、より高い変換効率の有機薄膜太陽電池の実現が期待される。

本研究では、発電層内の電荷の輸送特性やトラップ電荷(輸送障壁に捕捉された電荷)を定量的に評価する手法を開発。この手法により有機薄膜太陽電池の発電層を評価して、電荷の移動を妨げる輸送障壁の起源がドナー分子とアクセプター分子の界面や結晶粒界であることを発見した。

有機薄膜太陽電池は、安価、フレキシブルな次世代太陽電池として近年注目を集めており、変換効率と耐久性の向上に向けた研究開発が世界各地で進められている。通常、有機薄膜太陽電池は、電荷の受け渡しを行う2種類の分子(ドナー分子とアクセプター分子※)が複雑に混ざり合い(図1[b]、[c])、発電層内部に自己組織化(有機分子間の相互作用により、自発的に規則正しい配列・構造を形成)したナノ構造を形成して高い変換効率が実現する。しかし、発電層内のナノ構造と電荷の輸送との関係はほとんど解明されておらず、変換効率を向上させるための指針を得ることが難しい状況だった。

産総研では、有機薄膜太陽電池の変換効率の向上に関する研究開発を積極的に進めている。今回、発電層内部の電荷輸送を簡便に定量評価する手法を開発し、ナノ構造と電荷輸送との関係を明らかにした上で、変換効率の向上を目指す研究を進めた。

開発した電荷の輸送特性を評価する手法

開発した電荷の輸送特性を評価する手法

産総研では、今回得られた知見をもとに、電荷の輸送特性に優れる発電層を作製し、太陽電池の変換効率のさらなる向上を目指す。

なお、本研究は、産総研太陽光発電工学研究センター先端産業プロセス・低コスト化チームの布村正太主任研究員とミシガン大学電気工学科Stephen R. Forrest教授(材料科学科、物理学科兼務)によって行われた。また、本研究は日本学術振興会 科学研究費助成事業「基盤研究C(平成24~26年度)」の一環として実施され、この成果の詳細は科学誌Advanced Materialsに2014年10月17日(日本時間)にオンライン掲載される。

ドナー分子とは、有機半導体分野で、電子を周囲の分子に与えやすい有機分子の総称。電子供与体やp型半導体とも呼ばれる。有機薄膜太陽電池では、正電荷の輸送層として用いられる。

アクセプター分子とは、有機半導体分野で、電子を周囲の分子から受け取りやすい有機分子の総称。電子受容体やn型半導体とも呼ばれる。有機薄膜太陽電池では、負電荷(電子)の輸送層として用いられる。

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