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九州の「水前寺海苔」から高性能凝集剤を開発 濁水をすばやくきれいに

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九州の「水前寺海苔」から高性能凝集剤を開発 濁水をすばやくきれいに

鹿島は、淡水産ラン藻(水前寺海苔)などの植物由来天然ポリマーと三価鉄溶液を用いた、環境にやさしく高性能な濁水処理用の凝集剤「K-FAST」を開発した。

この凝集剤は天然材料で、周辺水域環境への負荷が極めて小さい上、従来の凝集剤に比べて凝集効果が高いため、安全な水中作業環境の確保や濁水処理効率の向上が期待できる。同社は今後、原料となる水前寺海苔の安定的な供給体制を構築し、周辺水域の環境負荷が懸念される工事へ積極的に提案していく方針。

「K-FAST」は、水前寺海苔を建設分野へ初めて応用したもの。同社は2011年より水前寺海苔の培養技術研究を進めてきたが、その保水性・吸着性に着目し、凝集剤としての開発を開始した。その結果、水前寺海苔と陸上植物から抽出した植物由来天然ポリマーと三価鉄溶液を用いた濁水処理用の凝集剤を完成させ、環境配慮と凝集効果向上を同時に実現した。さらに、第一製網(熊本県)と共同研究を行い、水前寺海苔の屋内における安定培養に成功した。

「K-FAST」は、海水・淡水問わずpH4~11の水質、有機・無機いずれの濁り物質においても適用可能。これにより凝集した濁り物質は、大きな塊を形成するため沈降速度が速く、短時間で濁水処理できる。また、既存の濁水処理装置にも適用可能。

水前寺海苔の培養(第一製鋼(株)牛水工場)

水前寺海苔の培養
(第一製鋼(株)牛水工場)

水前寺海苔は日本固有の淡水産ラン藻で、九州の熊本・福岡のみに分布している。貧栄養の湧水・清流に生息し、生活排水の流入によって自生地が激減、現在は絶滅危惧IA類に分類されている。江戸時代から伝統食品として懐石料理、精進料理などに用いられており、近年では食用の他、保水力の高さから化粧品にも応用されている。

ダム湖、港湾などにおける水域での掘削や浚渫工事では、ダイバーによる潜水作業が行われるが、水中の濁りはダイバーの視界を妨げるため、安全な作業には濁り対策が重要。また、トンネル工事や造成工事などでは掘削工事に伴う濁水が発生することから、放流するためには濁りを取り除く必要がある。

これらの対策の一つとして、濁り物質を吸着・沈殿させる凝集剤を用いて水の濁りを取り除く方法があるが、近年、凝集剤を使用した水による周辺水域への環境影響が懸念され、環境負荷の少ない天然由来の凝集剤が注目されている。

これまでも環境配慮型の天然有機高分子系凝集剤はあったが、水質や濁り物質によって使い分ける必要があったり、濁り物質の吸着に十分な効果が得られないなどその効果には課題もあり、作業効率の向上のためにも改善が望まれていた。

各凝集剤の比較

各凝集剤の比較

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