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将来の電源構成、「原子力・水力・石炭火力で6割を」 経産省が案を提示

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将来の電源構成、「原子力・水力・石炭火力で6割を」 経産省が案を提示

経済産業省は3月30日、2030年の最適なエネルギーミックス(電源構成)について検討する有識者会議、第5回長期エネルギー需給見通し小委員会を開催した。

本委員会では、「電源構成の在り方について」について議論した。経済産業省は、「各電源の特性と電源構成を考える上での視点」をまとめた資料を提示した。

エネルギー基本計画では、原子力・水力・石炭火力・地熱を、発電コストが安価で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる「ベースロード電源」と位置付けている。

経済産業省は、電源構成は、安価で安定的なベースロード電源を国際的にも遜色ない水準で確保することが重要であり、各国の産業用電気料金を比較すると、ベースロード電源比率の高い国ほど、料金水準が低い傾向にあると指摘。将来の電源構成は、原子力・水力・石炭火力などのベースロード電源で全体の6割を賄うべきとの認識を示した。

経済産業省が示した資料の概要は以下のとおり。

震災後、ベースロード電源比率は40%以下まで大きく低下

石油危機以降、石油火力への依存を低減するため、ベースロード電源としては石炭火力や原子力発電の比率を増加させ、ミドル電源(ベースロード電源の次に安価で、出力を機動的に調整できる電源)としてはLNG火力の利用を拡大してきた。2000年代になると電源構成は安定し、ベースロード電源比率は、概ね6割を超える水準を確保するようになった。しかし、東日本大震災後は、原子力発電停止によりベースロード電源比率は40%以下まで大きく低下。それに伴って電気料金も上昇している。

年間を通して需要が一定なのは6割程度

年間の電力需要曲線

※1 火力は変動費が小さいものほど長時間稼働させることが合理的。
※2 現実には、短時間しか稼働しない電源としては、石油火力やLNG火力などが用いられている。
※3 太陽光・風力は、実際には需給の安定に支障の無い範囲で優先して導入されるが、気象条件等により出力が変動する電源であるため、需要の大小や稼働時間に応じて制御可能な電源を経済的観点から配分するという観点から見た上図には含めていない。

また、年間の電力需要(kW)の推移をkWが大きい順に左から並べ直した「デュレーションカーブ(電力需要曲線)」をみると、年間を通して需要が一定である部分の面積(発電電力量)は、日本では6割程度となっている。

コスト最適化の観点から年間の電力需要に電源を当てはめていく上では、どの電源が適切なのか、電源毎の固定費と変動費の関係を踏まえ、稼働時間も考慮しつつ判断することが必要。長時間安定的な需要に対しては長時間の稼働に向いた電源(変動費が小さい電源)、例えば、石炭火力、原子力、水力を用い、短時間の需要に対しては短時間の稼働に向いた電源(固定費が小さい電源)、例えば、石油火力、LNG火力を用いることが合理的(メリットオーダー)だとしている。

日本のベースロード電源の比率は国際的に低水準

日本で定義している原子力・水力・石炭火力の電源構成比率は、概ね6~9割程度であり、日本も震災前は同水準であったが、震災後は大幅に低下しており、国際的に見ても低い水準となっている。各国のベースロード電源比率と産業用電気料金(2012年)をみると、ベースロード電源比率の高いカナダやアメリカなどで、電気料金は安くなっている。

ゼロエミッション電源の導入では揚水や出力制御を活用

CO2排出量の最小化の観点から年間の電力需要に電源を当てはめていく上では、ゼロエミッション電源を可能な限り拡大し、CO2を排出する火力を減らしていくことが必要。ゼロエミッション電源には、自然条件によって出力が大きく変動する電源(太陽光風力)と、出力が概ね一定の電源(水力、地熱、原子力)があり、これらの導入が拡大して両者が競合する場合には、後者を減らすのではなく、揚水や出力制御を活用することが合理的。

送電網の現状と連系線の強化

全国大の効率的な電源活用や需給の安定化の実現のためには、広域的な系統運用が重要。地域間連系線については、現在、北本連系設備を2018年度末までに現在の60万kWから90万kWに、東西の周波数変換設備については、現在の120万kWから210万kWに増強中。供給力の確保の観点から、平時における予備力確保に加えて、緊急時における周波数変換装置(FC)の更なる増強も必要となる。

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回)

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